2015 Fiscal Year Annual Research Report
生活習慣病予防における脂肪酸組成制御の有用性の解明と健康科学への応用
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15H03093
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
松坂 賢 筑波大学, 医学医療系, 准教授 (70400679)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 生活習慣病 / 脂肪酸 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、肝臓特異的Elovl6欠損マウス、膵ベータ細胞特異的Elovl6欠損マウス、マクロファージ特異的Elovl6欠損マウスの表現型解析および細胞・臓器特異的Elovl6過剰発現マウスの作製を行った。肝臓特異的Elovl6欠損マウスは、高ショ糖食の給餌や肥満モデルob/obマウスと交配すると、対照マウスに比べてインスリン感受性が亢進した。これら動物の肝臓の遺伝子発現解析により、高ショ糖食で発現が著明に増加し、かつ対照マウスに比べて肝臓特異的Elovl6欠損マウスで発現が低下する遺伝子Xを見出した。また、アデノウイルスを用いてこの遺伝子Xを肝臓で高発現させると、高ショ糖食による肝臓特異的Elovl6欠損マウスのインスリン感受性の亢進が抑制された。さらに、脂質メタボローム解析により、肝臓特異的Elovl6欠損マウスの肝臓で変化し、インスリン感受性と相関する脂質を見出した。膵ベータ細胞特異的Elovl6欠損マウスを作出し、その表現型を解析しているが、普通食および高脂肪食を給餌した条件では対照マウスと比較して大きな変化は認められていない。一方、2型糖尿病モデルdb/dbマウスと膵ベータ細胞特異的Elovl6欠損マウスを交配すると、膵ベータ細胞量の増加と糖尿病の改善が認められた。マクロファージ特異的Elovl6欠損マウスを作出し、その表現型を解析しているが、高脂肪食の給餌や肥満モデルob/obマウスと交配した条件では、対照マウスと比較して肥満、インスリン抵抗性、炎症に大きな変化は認められなかった。現在、解析対象とする臓器・細胞を広げ、また2型糖尿病モデルdb/dbマウスとの交配および表現型解析を進めている。細胞・臓器特異的Elovl6過剰発現マウスの作製は、当初予定していたLNL-Elovl6トランスジェニックマウスからROSA26遺伝子座へのノックインマウスにコンストラクトを変更して作製を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
肝臓および膵臓におけるElovl6の役割とそれに重要な脂質の候補を見出しているが、肥満やインスリン抵抗性におけるマクロファージElovl6の役割については現在不明であるため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は肝臓および膵臓におけるElovl6の役割とそれに重要な脂質を特定し、その機能をin vitroおよびin vivoでの解析により明らかにする。マクロファージ特異的Elovl6欠損マウスは、解析対象とする臓器・細胞を広げ、また2型糖尿病モデルdb/dbマウスとの交配および表現型解析を進める。
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Research Products
(10 results)