2015 Fiscal Year Annual Research Report
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15H03098
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Research Institution | Toyo University |
Principal Investigator |
小河 繁彦 東洋大学, 理工学部, 教授 (80553841)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 耕平 日本女子体育大学, 体育学部, 准教授 (00409278)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 脳血流 / 運動 / 脳循環調節 / 認知機能 / 内頸動脈 / 外頸動脈 / 椎骨動脈 |
Outline of Annual Research Achievements |
我々の先行研究において、主に大脳に血液を供給する内頸動脈の血流量や中大脳動脈血流速度は、動的運動時に増加するが、最大運動強度のおよそ60%で最大値に達し、その後運動強度の増加に伴い徐々に減少、最大運動強度では安静値まで低下することを報告した(Sato et al. JP 2011)。これらの結果は、運動強度に比例した脳代謝亢進のために脳血流量を増加させる必要があるという生理メカニズムの概念に反する。一方、最近の報告では、この運動中の脳血流量低下が脳代謝を低下させるが、運動パフォーマンス(Fuck et al. AJP 2014)や認知機能(Ogoh et al. PR 2014)には影響しないことが報告されている。平成27年度は、運動などの環境変化時の脳血流調節メカニズムの解明とその脳循環動態の生理学的意義を明らかにすることを目的として研究を進めてきた。特に各血管における血流応答の違いが脳循環動態に影響する可能性について報告した。特に、運動中の内頸動脈血流量の増加が抑制されることが外頸動脈血流量の急激な増加に依存することを明らかにした(Hirasawa et al. MSSE in Press)。さらに、動的な運動中に、熱ストレスを負荷すると、内頸動脈血流量が低下、一方、外頸動脈血流量は増加し、内頸動脈血流量の変化と逆相関関係にあることを示した(Sato et al. JAP in Press)。これらの知見から、外頸動脈血流変化が、運動中の脳血流を決定する一つの生理要因として重要であることが示された。また、起立ストレス中の椎骨動脈血流の変化と起立耐性との関連性について示し(Ogoh et al. Ex Physiol. 2015)、脳循環動態と生理機能との連関の可能性を示唆した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画書に関する研究①の実験がおおむね終了し、現時点で幾つかの英雑誌には発表している。本研究に関する論文は、平成27年度では、生理学系英雑誌に6編、平成28年度は既に6編掲載されている。しかしながら、動的運動の最大負荷時に脳血流量が低下するメカニズムに関する十分なデータが得られていない。今年度も継続してこの課題に取り組んでいく。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度に行った関連実験の論文をすべて英関連雑誌に掲載することを目指す。また、平成28年度の研究課題、調書の実験②を研究計画に基づいて行っていく。平成27年度は、様々な生理刺激に対して、重要な知見が得られたが、平成28年度は、特に外頸動脈の脳循環調節に及ぼす影響について、生理的意義について明らかにしていく。昨年同様、横断的手法により実験を行うが、研究目的達成のために実験方法や測定方法は柔軟に対応していく。
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Research Products
(26 results)