2017 Fiscal Year Annual Research Report
異年齢期カップリングの発達学:子どもの生きづらさを超えるための学際的協働
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15H03105
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
川田 学 北海道大学, 教育学研究院, 准教授 (80403765)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
室橋 春光 札幌学院大学, 人文学部, 教授 (00182147)
宮崎 隆志 北海道大学, 教育学研究院, 教授 (10190761)
岡田 智 北海道大学, 教育学研究院, 准教授 (10458862)
伊藤 崇 北海道大学, 教育学研究院, 准教授 (20360878)
加藤 弘通 北海道大学, 教育学研究院, 准教授 (20399231)
辻 智子 北海道大学, 教育学研究院, 准教授 (20609375)
日高 茂暢 作新学院大学, 人間文化学部, 准教授 (20733942)
榊 ひとみ 函館短期大学, 保育学科, 准教授(移行) (30757498)
白水 浩信 北海道大学, 教育学研究院, 准教授 (90322198)
田岡 昌大 大阪青山大学, 健康科学部, 講師(移行) (90804758)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 異年齢期カップリング / 多様性 / 異質性 / 発達 / 居場所 / 地域 / 保育 / 限界線上の学び |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は,2年次までの研究成果をもとにした普及・社会還元活動を中軸に置きつつ,継続する調査も着実に進め,翌年度に向けた議論の整理を行った。以下,概要を整理する。 (1)昨年度末に発行した研究成果報告書『未完のムクドリ:多世代多様な場で起きていること』を契機としたフォーラム「人の育ちを支える場ってナンだろう:『多世代多様な場』の可能性」を札幌市にて開催した。異年齢・多世代交流に関心をもつ実践者と発達心理学・社会教育学・臨床心理学等の研究者が集い,その実践性と人間発達理解の新展開について議論した。また,関連企画として,「『未完のムクドリ』を読む:発達心理学と社会教育学の対話から」を開催し,人間の成長・発達に関する領域間のアプローチの違いと,総合的アプローチについて議論を行った。加えて,札幌市内において地域ぐるみでの居場所づくりのプロジェクトとの共同研究も進めている。 (2)近接テーマにて研究を進めている神戸大学の研究室との共催として,公開研究会「『同年齢』保育・教育をちょっと疑ってみる:異年齢保育・教育&多世代交流の可能性」を神戸市にて開催し,テーマに関心を持つ教師・保育者,大学院生や研究者が集い,異年齢・多世代の実践性と発達研究について議論を行った。 (3)教育実践に係る研究活動として,次の3点を進めた。第1に,昨年度に引き続き,異年齢協働活動をカリキュラムに位置づける国立小学校において観察調査を実施した。第2に,発達概念の転換と学校教育改革の現状を分析する研究会「学校、発達、限界線上の学び」,異年齢・異学年の教育活動を推進する保幼小中高の実践報告をもとにその理論的・実践的含意を抽出するフォーラム「異年齢・異学年から子どもの育ちと学びを考える:『あこがれ』と『いたわり』を越えて」を開催した。第3に,昨年度に引き続き札幌市内の小中学生の生活実態に関する大規模調査を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初計画していた実験的アプローチおよび歴史研究の側面が十分に進んでいるとはいえないため。なお,特定の研究パートや方法の遅れには,研究の進展とともに本研究課題においてより相応しい方法(フィールド調査,エスノグラフィー,実践者参加型の情報生成)によるアプローチを重視するようになった影響があり,研究課題全体としては目的のために前進していると評価できる。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題の特色は,保育・学校から地域に至る多層的な教育実践との協働的な研究を,研究者の領域連携により推進する点にある。それにより,子ども・若者の育ちの現代的課題を総合的に分析し,特に異年齢・多世代における関わり合い(異年齢期カップリング)の観点から人間発達に関する新たな理論的・実践的展望を切り開くことを目的とする。そのために,4年目となる最終年度では,3年間の活動を整理・総括するための研究会と,研究成果の社会還元と新たな研究シーズの発掘を企図したフォーラムの開催を中軸に置くことが必要である。実験的アプローチや歴史研究の可能性については引き続き検討しつつも,これまでの研究活動により重視すべきと判断した実践交流型研究を厚く推進していくこととする。
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Research Products
(17 results)