2015 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15H03122
|
Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
桜井 武 金沢大学, 医学系, 教授 (60251055)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | 不眠障害 / オレキシン / 視床下部 / 大脳辺縁系 / 情動 |
Outline of Annual Research Achievements |
不眠障害に見られる過覚醒の病態には、不眠恐怖や不安の背景にある大脳辺縁系の活動が、覚醒系に影響をおよぼしていることが想定される。そこで、脳辺縁系がどのような経路で覚醒制御にかかわるオレキシンニューロンやヒスタミンニューロンに影響を与えるのか明らかにするため、視床下部のオレキシン産生ニューロンと脳幹のヒスタミン作動性ニューロンの直接のシナプス入力を組み換えレイビースウィルスベクターを用いたトレーサーを用いて明らかにした。視索前野(POA)の外側に位置するGABAニューロンの多くがオレキシンニューロンに直接入力することが明らかになったため、cTRIO法により、視床下部外側野に投射するPOAのGABA作動性ニューロンの一次上流ニューロンも明らかにした。その結果、これらのニューロンは、側坐核やPOAの内側部や分界条床核(BST)などから多くの入力を受けていることが明らかになった。大脳辺縁系や側坐核は、BSTのGABAニューロンの抑制を介して覚醒系を駆動させていると考えられた。また、POAのGABAニューロンを特異的に薬理遺伝学的手法により刺激すると覚醒時間が延長し、光操作をノンレム睡眠時に行うと直ちに覚醒が誘導された。一方、オレキシンの出力系としてのモノアミン系が、扁桃体などの大脳辺縁系に影響をおよぼすことにより、情動記憶の修飾にかかわり、さらに不眠障害の病態に関与する可能性も検討した。当該年度では特に青斑核のノルアドレナリン神経(LC-NAニューロン)に着目し、情動行動における役割を検討した。LC-NAニューロンを抑制すると情動表出が減弱し、NC-NAニューロン、またはオレキシンニューロンを刺激することにより、本来すくみ行動が見られない文脈においてもすくみ行動がみられるなど、情動表出の変容が引き起こされることが明らかになった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ほぼ、実験計画通りに研究が進行しているが、得られた知見により実験計画の修正を行いながら研究を進めている。
|
Strategy for Future Research Activity |
cTRIO法にをもちいて、オレキシンニューロンやヒスタミンニューロンに入力する上流ニューロンのさらに上流のニューロンの入力系を網羅的に明らかにする。その中で覚醒制御に関わると考えらえる領域、たとえば、視床下部外側野に投射するPOAのGABA作動性ニューロンの一次上流ニューロンに着目する。それらの2次上流ニューロンに対して、薬理遺伝学並びに光操作を行い、動物の覚醒や行動に与える影響を明らかにしていく。こうした領域にDREADDを適用し、過覚醒を作り出すことによって不眠モデルを確立し、オレキシン受容体拮抗薬などの作用を明らかにすることにより、過覚醒の病態におけるオレキシンの関与を明らかにする。一方、オレキシンの出力系として青斑核のノルアドレナリン神経(LC-NAニューロン)や、背側縫核のセロトニン神経に着目してこれらが扁桃体などを介して情動や行動に与える影響を検討する。
|
Research Products
(18 results)
-
[Journal Article] Messenger RNA expression profile of sleep-related genes in peripheral blood cells in patients with chronic kidney disease.2016
Author(s)
Kitajima S, Iwata Y, Furuichi K, Sagara A, Shinozaki Y, Toyama T, Sakai N, Shimizu M, Sakurai T, Kaneko S, Wada T.
-
Journal Title
Clin Exp Nephrol.
Volume: 20
Pages: 218-225
DOI
Peer Reviewed
-
-
[Journal Article] Nighttime Administration of Nicotine Improves Hepatic Glucose Metabolism via the Hypothalamic Orexin System in Mice.2015
Author(s)
Tsuneki H, Nagata T, Fujita M, Kon K, Wu N, Takatsuki M, Yamaguchi K, Wada T, Nishijo H, Yanagisawa M, Sakurai T, Sasaoka T.
-
Journal Title
Endocrinology
Volume: 157
Pages: 195-206
DOI
Peer Reviewed
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
[Presentation] The role of adult born neurons during sleep.2015
Author(s)
Sakaguchi, M., Kumar, D., Hayashi, M., Yu, L.M., McHugh, T.J., Sakurai, T.
Organizer
The 38th Annual Meeting of the Japan Neuroscience Society
Place of Presentation
神戸コンベンションセンター
Year and Date
2015-07-28 – 2015-07-31
-
-
[Presentation] Cellular clocks in AVP neurons of the SCN are critical for interneuronal coupling regulating circadian behavior thythm.2015
Author(s)
Mieda, M., Ono, D., Hasegawa, E., Okamoto, H., Honma, K., Honma, S., Sakurai, T.
Organizer
The 38th Annual Meeting of the Japan Neuroscience Society
Place of Presentation
神戸コンベンションセンター
Year and Date
2015-07-28 – 2015-07-31
-
-
-