2015 Fiscal Year Annual Research Report
市場アノマリー軽減の学習アルゴリズムとその神経基盤
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15H03124
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Research Institution | Tamagawa University |
Principal Investigator |
松元 健二 玉川大学, 脳科学研究所, 教授 (50300900)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | ニューロエコノミクス / 認知バイアス / 学習アルゴリズム / 脳 |
Outline of Annual Research Achievements |
人間の確率判断の最適なベイズ推定からの乖離を表現する方法を明らかにするため、30名の被験者にベイズ推定からの乖離度測定課題、およびベイズ推定からの乖離を消去するためのオークション学習課題を用いた集団行動実験課題、およびfMRI実験に参加してもらった。ベイズ推定からの乖離度測定課題は、事前確率と尤度から、事後確率を答えてもらう課題であり、ベイズ推定から乖離した被験者の直観に内在するアルゴリズムを推定することが可能である。実験の結果、ベイズ推定からの乖離度測定課題によって測られた人間の確率判断のバイアスは指数型バイアス付きベイズ更新モデルによってよく説明されることが分かった。また、ベイズ推定からの乖離を消去するためのオークション学習課題を被験者に行ってもらうと、学習する環境においては人間の確率判断のバイアスが消えるものの、学習する環境と異なった環境では確率判断のバイアスは消えないことが分かった。 これらの実験結果を踏まえ、人間の確率判断の最適なベイズ推定からの乖離を表現する指数型バイアス付きベイズ更新モデルを理論的に考察したところ、このモデルは主な確率判断の認知バイアスをほとんど説明することができることが分かった。さらに、サルの電気生理実験と確率分布の神経回路におけるコーディングに関する先行研究に基づく指数型バイアス付きベイズ更新モデルの神経回路モデルを構築した。この神経回路モデルを用いることで注意、ワーキングメモリなどの認知制御に関する先行研究の実験データをベイズ推定の観点から説明することができることを明らかにした。また、二肢強制選択法の心理学的モデルであるdrift diffusion model、leaky competing accumulator modelは指数型バイアス付きベイズ更新モデルの神経回路モデルの一例であるとみなすことができることも明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
人間の確率判断の最適なベイズ推定からの乖離を表現する方法については既に見通しを得た。神経データ解析については、fMRI実験をほとんど終え、現在解析中である。人間の確率判断の最適なベイズ推定からの乖離についての理論的な側面からの考察もほぼ完了し、初稿を書き終え、投稿準備中である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、人間の確率判断の最適なベイズ推定からの乖離についての理論的な考察についての論文を投稿、公表するとともに、残りのfMRI実験を行い、結果を解析し、論文にまとめ、投稿、公表する。
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Research Products
(6 results)
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[Presentation] “The Neural Basis of Changing Social Norms through Persuasion”2015
Author(s)
Yukihito Yomogida, Madoka Matsumoto, Ryuta Aoki, Ayaka Sugiura, Adam N. Phillips, and Kenji Matsumoto.
Organizer
The First International Workshop on the Neurobiology of Social Influence
Place of Presentation
National Research University Higher School of Economics, Moscow, Russia.
Year and Date
2015-08-31
Int'l Joint Research
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