2015 Fiscal Year Annual Research Report
バナナから見る農のグローバリゼーションと在来農文化の接続
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15H03134
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
小松 かおり 静岡大学, 人文社会科学部, 教授 (30334949)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
北西 功一 山口大学, 国際総合科学部, 教授 (80304468)
小谷 真吾 千葉大学, 文学部, 准教授 (90375600)
佐藤 靖明 大阪産業大学, 人間環境学部, 准教授 (30533616)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 生態人類学 / 地域間比較研究 / グローバリゼーション / 環境利用 |
Outline of Annual Research Achievements |
当該年度は、初年度として、(1)各地の調査トピックに関する研究会3回、(2)調査の基本フォーマットの作成とバナナの形質の記載法についての技術の共有、(3)これまで各地で収集した資料の共有、(4)研究代表者、研究分担者、連携研究者、研究協力者による個別テーマの調査の実施を目指した。 (1)および(3)については、6月、11月、3月に研究会を開催し、メンバーのこれまでの研究成果物を共有するとともに、研究トピックと各地のバナナ栽培文化の現状についての情報を共有した。(2)については、第1回の研究会で、熱川バナナワニ園を訪問し、世界中から収集した野生・栽培バナナを観察するとともに、バナナの形質の記載についての技術の共有を行った。(4)については、各代表者、分担者、連携研究者、研究協力者6名がそれぞれの調査を進めた。うち、研究分担者の小谷は、ニューギニアにおける共同調査のための予備調査を行い、首都の近郊で複数の調査地を開拓するとともに、数種のバナナの基本栄養素・タンパク質分析を行い、熱帯湿潤地域におけるバナナの栄養学的調査を進めた。連携研究者の四方は、短期のカメルーン調査を実施し、バナナ栽培の変容についての予備調査を行った。研究分担者の佐藤は、台湾の新竹教育大学で文化資源としてのバナナなどについて講演を行った。研究協力者の大橋はペルー・アマゾンの先住民の生業と環境利用に関する博士論文を執筆し、グローバリゼーションの時代にバナナ栽培が地域社会にもつ意味について分析した。研究代表者の小松と佐藤は、カメルーンとウガンダにおけるバナナ栽培文化の歴史についての共著論文を執筆し、バナナ栽培文化の比較研究の成果を出しつつある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
6月、11月、3月の研究会において、資料と技術、トピックを共有した。 小谷はニューギニアの予備調査で本調査のための調査地を見つけ、代表的な品種について栄養分析を行った。2015年度の主な支出は、ニューギニア調査のための海外調査費用、国内研究会のための旅費、栄養分析の外注費用である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、共通のフォーマットによるバナナの品種・形質・栽培法・利用法の調査を進めるとともに、各地の代表的なバナナについて、特にタンパク質に注目して栄養分析を進める。 フィールドワークを中心に調査を進め、各調査地の中でも、特にバナナへの依存度が高く、品種も多いウガンダとニューギニアにおいて共同調査を行い、複数名による2~3週間の集中調査で、グローバリゼーションの中の農と食の変容についての議論を深める。フィールドワークの共有による知見の深まりは本科研に先行した研究チームで確認済みである。 佐藤、小谷は、2016年8月にウガンダで開催される国際民族生物学会で研究報告を行う予定である。
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Research Products
(7 results)