2015 Fiscal Year Annual Research Report
被ばく被害の国際比較研究:セミパラチンスク、チェルノブイリ、広島・長崎、福島
Project/Area Number |
15H03137
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
川野 徳幸 広島大学, 平和科学研究センター, 教授 (30304463)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
原田 浩徳 順天堂大学, 医学部, 准教授 (10314775)
大瀧 慈 広島大学, 原爆放射線医科学研究所, 教授 (20110463)
佐藤 健一 広島大学, 原爆放射線医科学研究所, 准教授 (30284219)
星 正治 広島大学, 平和科学研究センター, 名誉教授 (50099090)
小池 聖一 広島大学, 国際協力研究科, 教授 (70274024)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 核被害 / セミパラチンスク / 原爆 / フクシマ / チェルノブイリ |
Outline of Annual Research Achievements |
研究代表者を中心とする本年度の研究実績は次の通りである。①2015年8月、セミパラチンスク地区のビルリック、ステクリャンカ、グルホフカの各村において、住民を対象にアンケート調査・証言収集調査を実施した。244件のアンケート(106点の証言含む)を回収した。現在、2014年度に回収したアンケート及び証言とともに解析作業を行っている。②2016年1月、カザフスタン・セミパラチンスクの共同研究者2名を招聘し、セミパラチンスクの核被害及びセミパラチンスク核実験被災者への補償問題について意見交換した。その研究成果は、『広島平和科学』37にまとめた。現在施行されている法律の内容を概観し、その特徴をまとめ、日本におけるいわゆる「被爆者援護法」との異同について考察した。③2016年2月下旬から3月初旬にかけて、ウクライナ・キエフ及びカザフスタン・セミパラチンスクへの出張を行った。前者に関してはチェルノブイリ原発事故被災者へのオーラルヒストリーを実施し、後者に関してはセミパラチンスク核実験被災者の補償問題について現地研究者と意見交換した。④朝日新聞・読売新聞実施の被爆実態アンケート調査の分析・考察を進めた。その成果の一つとして、両紙のアンケート結果を援用し、これまでほとんど明らかにされてこなかった原爆被爆者の「核なき世界」以外の「思い」の一端を明らかにした。⑤福島原発事故被災者・避難者への聞き取り調査を実施した。相馬市を事例に、いわゆる「災害弱者」に注目し、避難実態の一端を明らかにした。 研究分担者も本研究のおける役割分担を十分に果たし、それぞれ本研究に寄与した。たとえば、大瀧は原爆被爆者のがんによる死亡リスクに関する統計的解析法の提案を、原田は原爆被爆者に多く見られる骨髄性異形成症候群について、星は低線量被ばくにおける動物実験を実施した。それぞれの研究成果については、業績一覧に記載した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初予定していた調査研究は、①セミパラチンスク地区でのアンケート調査・証言収集、②従来収集してきたアンケート・証言の予備的解析、③チェルノブイリ原発事故被災者へのインタビュー、④朝日新聞・読売新聞実施の被爆実態アンケート調査の分析・考察を進める、⑤福島原発事故被災者・避難者への聞き取り調査、の5点であった。何れも当初の計画通り実施できた。そればかりではなく、当初計画していなかったが、本研究の目的に資すると考えられるセミパラチンスク核実験被災者の補償問題について検討を進め、論文としてまとめることができた。また、研究ノートという形ではあるが、福島原発事故被災者の避難の実態について一考察を行った。研究分担者もそれぞれの役割を十分果たしている。この意味において、平成27年度は、当初の計画以上の研究を行えた。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究は、カザフスタン共和国・セミパラチンスク地区を中心にした「被ばく被害地域の国際比較研究」である。具体的には、放射線被ばく被害による心的影響、社会的・経済的影響の実態及びその背景要因について、国際比較研究を行うものである。そのために、次の点を明らかにする。①低線量被ばくのセミパラチンスク地区住民の被害の一端を明らかにする。②広島・長崎原爆被爆者の現在の心的影響を明らかにする。③チェルノブイリ原発事故被災者の心的・社会的影響を明らかにする。④比較研究により、それぞれの異同を明らかにする。⑤福島原発事故被害の一端を明らかにする。⑥以上からカザフスタン・セミパラチンスクを中心とする「被ばく地域」の被害の特徴を明らかにする。 本年度の研究は、当初の予定通り、滞りなく進んだ。今後も本年度同様、調査研究を推進していく。そのため、本研究の分担者、海外の共同研究者とは密に連携をとっている。今後の調査研究に何ら支障はない。
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Research Products
(27 results)
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[Presentation] Internal exposure and beta rays: subjects to be considered more related to radiation exposures2016
Author(s)
Hoshi M, Stepanenko V, Rakhypbekov T, Ohtaki M, Otani K, Satoh K, Kawano N, Shichijo K, Nakashima M, Takatsuji T, Sakaguchi A, Kato H, Onda Y, Fujimoto N, Toyoda S, Sato H, Dyussupov A, Chaizhunusova N, Sayakenov N, Uzbekov D, Saimova A, Shabdarbaeva D, Azimkhanov A, Kolbayenkov A, Kairkhanova Y Kaprin A, Petukhov
Organizer
The 20th Hiroshima (Miyajima) International Symposium 2016.
Place of Presentation
Hiroshima (Miyajima)
Year and Date
2016-01-10 – 2016-01-11
Int'l Joint Research
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[Presentation] Estimation of beta- and gamma-dose in quartz containing samples from Hiroshima and Nagasaki cities and Fukushima Prefecture using single grain OSL technique: preliminary results2016
Author(s)
Stepanenko V, Petukhova A, Hoshi M, Endo S, Ohtaki M, Kawano N, Takihara Y, Satoh K, Tanaka K, Kajimoto T, Takatsuji T, Sato H, Toyoda S, Kaprin A, Ivanov S, Kolyzhenkov T, Khailov A, Khasaeva U, Bogacheva
Organizer
The 20th Hiroshima (Miyajima) International Symposium 2016.
Place of Presentation
Hiroshima (Miyajima)
Year and Date
2016-01-10 – 2016-01-11
Int'l Joint Research
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[Presentation] Modeling of beta-irradiation following Hiroshima A-bombing: results of internal dose estimations in experimental animals exposed to neutron activated 56Mn powde2016
Author(s)
Stepanenko V, Rakhypbekov T, Ohtaki M, Otani K, Satoh K, Kawano N, Shichijo K, Nakashima M, Takatsuji T, Sakaguchi A, Dyussupov A, Chaizhunusova N, Sayakenov N, Uzbekov D, Saimova A, Shabdarbaeva D, Azimkhanov A, Kolbayenkov A, Kairkhanova Y, Kaprin A, Ivanov S, Hoshi M
Organizer
The 20th Hiroshima (Miyajima) International Symposium 2016.
Place of Presentation
Hiroshima (Miyajima)
Year and Date
2016-01-10 – 2016-01-11
Int'l Joint Research
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