2015 Fiscal Year Annual Research Report
大航海時代のイベリアンインパクトと日本社会における民衆意識形成に関する総合的研究
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15H03138
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Research Institution | Aichi Prefectural University |
Principal Investigator |
大塚 英二 愛知県立大学, 日本文化学部, 教授 (40201975)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
服部 光真 公益財団法人元興寺文化財研究所, 研究部, 研究員 (00746498)
久富木原 玲 愛知県立大学, 日本文化学部, 教授 (10209413)
糸魚川 美樹 愛知県立大学, 外国語学部, 准教授 (10405152)
山村 亜希 京都大学, 人間・環境学研究科(研究院), 准教授 (50335212)
川畑 博昭 愛知県立大学, 日本文化学部, 准教授 (50423843)
上川 通夫 愛知県立大学, 日本文化学部, 教授 (80264703)
久保薗 愛 愛知県立大学, 日本文化学部, 講師 (80706771)
堀田 英夫 愛知県立大学, 外国語学部, 名誉教授 (90128637)
三宅 宏幸 愛知県立大学, 日本文化学部, 准教授 (90636086)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 異文化交流 / 大航海時代 / 民衆意識 / 君主制 / 天皇制 / キリスト教 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究代表者は、大航海時代の日本で宣教師の布教用ノートとして作られた『吉利支丹抄物』のテキスト理解のため、国内外の関係機関において調査をして、表現内容の点検を行い、全文翻刻・現代語訳出の準備を進めた。同時に、分担研究者も課題に関わる調査を進め、論文の準備をした。その途中経過は調査先であるスペイン・マドリッドのサンパブロCEU大学でのセミナーで発表した。代表者は『抄物』の記載に見る「天狗」と「悪魔」の比較文化研究を、分担研究者は古典文学に見る権力相対化の比較研究等を発表したが、いずれも当時の民衆意識の基底に関わるものとして重要である。また、先に共同で研究を進めていた本研究の母胎ともいえる、大航海時代の日本-スペイン交流史研究が『日出づる国と日沈まぬ国』(勉誠出版、2016年3月)の刊行として結実したが、これも本研究の成果を含んでいる。そこでは、研究代表者と分担者が「『吉利支丹抄物』と大航海時代の日本」「大航海時代におけるスペイン語と日本語の出会い」「キリスト教の受容と戦国期の民衆」「「日本の君主制と」再論ー憲法制度を凌駕する信仰」「近代天皇制歴史観と前近代天皇制」「前近代日本文学における自我意識の発露」「馬琴読本『侠客伝』における西洋光学機器」「ロシア資料に見る一八世紀前半の日本とロシア、ヨーロッパ」「多様化する住民と地域ー愛知とバルセロナの事例から」を発表し、異文化交流のあり方を多面的に考察した。以上のような成果は、本研究が進めるイベリアンインパクトを通じた日本列島上の民衆意識の構成分析に大きな道筋を開くものであり、これらを土台として更に本研究課題が展開していくものと思われる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究課題を遂行するため、研究代表者は分担研究者と研究会を4回開催し、更にスペイン・マドリッドのサンパブロCEU大学では代表者を含む4名が中間的な研究発表と交流を行ってきた。この中で、大航海時代の民衆意識に関する分担研究者各自の問題設定と分析方法はより鮮明となり、個々の分担する論文もいくつか発表できる状態となってきている。また、本研究に先行する形で同じメンバーで進めていた共同研究が『日出づる国と日沈まぬ国』(勉誠出版)として刊行されたので、今後は共通した問題意識のもと、いっそう本研究が進展するものと思われる。なお、海外の研究者を招いてのセミナーは先方の都合により28年度にずれ込んだが、それを差し引いても、研究はおおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き国内外の関係機関で資料を収集し、データを分析・検討して、歴史・文学・言語・法制等の分野から、民衆の行動・規範・思想等のテーマで、分担研究者が個々に論文を発表していく。その蓄積の上に立ち、総合的に大航海時代の民衆意識像を描くように努める。特に『吉利支丹抄物』の完訳は、その主軸にすえられるもので、日本語研究分野に限らず、ヨーロッパの古語研究者の協力も得て推進する。また、海外の研究者を招いてのセミナーを開催・交流していて、当該分野での世界的な研究動向を直接つかむようにする。
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Research Products
(18 results)