2016 Fiscal Year Annual Research Report
ローカル・リーダーの登場と下層民の台頭からみる現代インド社会の変容
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15H03142
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Research Institution | Ryukoku University |
Principal Investigator |
舟橋 健太 龍谷大学, 公私立大学の部局等, 研究員 (90510488)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長崎 暢子 龍谷大学, 公私立大学の部局等, 研究フェロー (70012979)
篠田 隆 大東文化大学, 国際関係学部, 教授 (20187371)
志賀 美和子 専修大学, 文学部, 准教授 (80401157)
石坂 晋哉 愛媛大学, 法文学部, 准教授 (20525068)
鈴木 真弥 東京外国語大学, その他部局等, 研究員 (30725180)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | インド / ローカル・リーダー / 下層民 / 社会運動 / 文化人類学 / 思想史 / 社会学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本科研プロジェクトは、現代インドにみられる「下層民の台頭」という事象について、特に「ローカル・リーダー」の登場と存在、活動に焦点を当てて、分析・考察を試みるものである。2016年度においては、上記の研究目的のもとに、国内外よりゲスト・スピーカーを招聘して、国内研究会を1回、国際セミナーを1回、国際会議を1回の、計3回の関連研究会(いずれも、人間文化研究機構プロジェクト「南アジア地域研究」・龍谷大学拠点との共催)を行った。 国内研究会においては、法政大学の加藤久子氏により、これまで光を当てられることがなかった第二次世界大戦中の日本人(特に沖縄漁民)のインド抑留に関して、その来歴と収容所内における人間関係を中心に、重厚な報告がなされた。本報告は、日印関係の歴史を再考し、インド研究に従事することの意味と意義について、根本的に省察するきわめて貴重な機会となった。 また、国際セミナーならびに国際会議においては、諸事情から当初予定の海外研究者の招聘はかなわなかったが、前者では、パンジャーブ州のダリト運動に関する著名な研究者であるRonki Ram氏により、ダリトの社会宗教運動の現状から、現代インドにおける民主主義のありようについての分析・考察がなされた。また後者の国際会議においては、「南アジアにおけるダリト問題」との共通テーマのもと、スリランカ、パキスタン、ネパール、そしてインドの事例に関する報告がなされた。いずれも、当該地域におけるダリト(ひいては下層民)をめぐる社会・政治・経済・宗教に関わる問題とその考察であり、地域間比較の観点から、本科研プロジェクトの研究趣旨を考究するためにも、きわめて貴重で重要な討議の場となった。 また併行して、研究メンバーそれぞれによるインド現地調査や文献調査が引き続き着実に行われ、各々の研究内容の進展が図られたものである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2016年度の活動実績で特記すべきは、国内外の研究者を招いて、国際セミナーと国際会議を開催したことである。前者においては、パンジャーブ州のダリト運動に関する著名な研究者であるパンジャーブ大学のRonki Ram氏により、ダリトの社会宗教運動の現状から、現代インドにおけるダリト問題、カースト問題、ひいては民主主義のありようについて、分析・考察がなされたものである。そこにおいては、分化しながら活発化するダリト運動と、「カースト」カテゴリーの現代的意味について、活発な議論が行われた。 また後者の国際会議では、「南アジアにおけるダリト問題 "Understanding Social Exclusion: Dalit Issues in South Asia"」との共通テーマのもと、スリランカ、パキスタン、ネパール、そしてインドの事例に関して、それぞれ、充実した報告がなされた。いずれも、当該地域におけるダリト(ひいては下層民)をめぐる問題に関して、社会・政治・経済・宗教等、それぞれの観点から厚い報告がなされ、意義深い分析と深い考察がなされたものである。いずれのケースも、インドの事例との共通性と、それぞれの社会の文脈における歴史性・独自性があり、地域間比較の観点から、本科研プロジェクトの研究趣旨を追究するためにも、きわめて貴重で重要な討議の場となった。 これら国際セミナーならびに国際会議においては、研究代表者をはじめ、研究分担者の討論への積極的な参加も行われたことから、各メンバー間での問題意識の焦点化と共有が可能となり、次年度以降のさらなる研究の進展に向けて、強い意義があったものと考える。以上から、本プロジェクトは、当初計画通り順調に進捗しているものと考える。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、これまでの活動において焦点化・共有された、本科研プロジェクトの研究趣旨と各自の研究内容に基づき、ひとつに、定期的な研究会等の開催によって、いまひとつに、各自で推進する現地調査・文献調査の遂行によって、さらなる研究の進展を試みるものである。特に2017年度の定期的な研究会等においては、「下層民」のとりわけ若年層に焦点を当てて、彼ら/彼女らの教育・就業をめぐる状況と問題、可能性を主テーマとした国内ワークショップの開催を計画している。次代を担う子どもたち・青年層の教育と就業に関する問題は、当事者たちにとっても強い関心と希望の的であり、今後の社会における地位の展開においても、非常に重要なファクターであると考えられる。こうした問題群について、本科研メンバーおよびゲスト・スピーカーの招聘により、討議を行うものである。また合わせて、各メンバーによる研究進捗状況の報告も行うものである。これらの機会において、見解の交換を行い、本プロジェクトのさらなる進展・深化を図るものである。
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Research Products
(29 results)
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[Presentation] Indo-Japan Relations2016
Author(s)
石坂晋哉
Organizer
JNU-Ehime University International Seminar
Place of Presentation
Jawaharlal Nehru University, Delhi, INDIA
Year and Date
2016-08-31
Int'l Joint Research
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