2017 Fiscal Year Annual Research Report
ローカル・リーダーの登場と下層民の台頭からみる現代インド社会の変容
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15H03142
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Research Institution | Ryukoku University |
Principal Investigator |
舟橋 健太 龍谷大学, 社会学部, 講師 (90510488)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長崎 暢子 龍谷大学, 公私立大学の部局等, フェロー (70012979)
篠田 隆 大東文化大学, 国際関係学部, 教授 (20187371)
志賀 美和子 専修大学, 文学部, 教授 (80401157)
石坂 晋哉 愛媛大学, 法文学部, 准教授 (20525068)
鈴木 真弥 東京外国語大学, その他部局等, 研究員 (30725180)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | インド / ローカル・リーダー / 下層民 / 社会運動 / 文化人類学 / 思想史 / 社会学 |
Outline of Annual Research Achievements |
2017年度は、7月20日~23日の日程でタイで開催された The Tenth International Convention of Asia Scholars に、研究代表者の舟橋健太と研究分担者である石坂晋哉氏(愛媛大学)を中心にパネル "Behind and Beyond the Politicization: The Communities, Environment, and Religions in India Today" を組み、参加・研究報告を行った。宗教運動や環境運動の政治化と各運動のリーダーとの関わり、また直面する課題等に関する研究報告を行い、活発な質疑応答が行われた。 また、2018年2月5日~6日には、インドのパンジャーブ州で開催された国際会議 International Conference on Governance for the Margins に、舟橋が招聘されて講演(研究報告)を行った。仏教改宗運動におけるリーダーとフォロワーの間の交流と齟齬、ならびに、宗教儀礼実践における他者関係交渉の重要性に関する報告を行い、非常に建設的な意見交換が行われた。 科研費プロジェクトの研究会としては、2月18日に龍谷大学において開催され、外部講師として招聘した小嶋常喜氏(法政大学第二中・高等学校・教諭)からは、「ローカル・リーダーの群像~20世紀前半、北インドの諸社会運動を中心に」と題した研究報告が、また、石坂氏からは「下層民の台頭と「カースト」―R・M・ローヒヤーの運動論(2)」と題した研究報告が行われた。いずれも、歴史的観点から、ローカル・リーダーの思想と社会運動との関わりと展開に焦点をあてた、きわめて重要な内容の報告であり、今後の科研費プロジェクトのさらなる進展におおいに資する非常に貴重な機会となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2017年度の活動においては、現地調査や文献調査に基づいた、科研費プロジェクトメンバー各人の研究課題のそれぞれの追究と、とりわけ、国際会議等の場における研究報告が活発かつ積極的に行われた。研究報告を受けての質疑やコメントでは、いずれも、きわめて建設的な議論が多く行われ、すなわち国際交流と国際発信、またそれを踏まえての研究の進展が効果的に図られたものと考える。 科研費プロジェクトの研究会においては、歴史学の分野、特に植民地期の北インドにおける社会運動に関する研究で重要な業績を有する外部講師(小嶋常喜氏)を招聘し、研究報告ならびに科研費メンバー(石坂晋哉氏)の報告に対するコメントをお願いし、貴重な数多くの見解を受けることとなった。 また科研費研究会の機会に行われた、科研費メンバーによる研究進展の報告と今後の予定に関する討議においては、各メンバーの現在の研究進捗状況と今後の見通しに関する情報共有がなされ、科研費プロジェクト最終年度となる次年度(2018年度)の研究活動に関する活発な見解の交換が行われた。そこでは、成果の公開と刊行に関する積極的な意見が多く出され、次年度の研究計画立案において、非常に重要な意見集約を行うことができた。 先述した国際交流の成果である、在外研究者との協働に基づく国際会議の企画も進行していることから、科研費プロジェクトとして、次年度もさらなる研究の展開が予期されるものであり、以上から、本研究課題は当初予定通りおおむね順調に進展していると判断したものである。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、本科研プロジェクトの最終年度にあたることから、大きく三つの企画を検討・予定している。 ひとつは、特にインドの下層民に焦点をあてた、就学・教育から就職にいたる過程を主テーマとする国内シンポジウムの開催である。下層民の社会的地位の上昇において、また、ローカル・リーダーの登場の背景として、就学・教育・就職における社会変容を検討することは、きわめて重要な観点となると考える。科研費メンバーを中心とした国内研究者を軸として、複数の外部講師も交えた国内シンポジウムの開催を企画する。 二つ目は、これまでの科研費プロジェクトの遂行において培われた、国際的な研究ネットワークに基づいた国際会議の開催である。特に強い関係性が築かれたパンジャーブ州ならびにチャンディーガルの研究者を招聘して、現代インドの政治と宗教、社会運動をテーマとした国際会議を開催する予定である。 三つ目としては、本科研プロジェクトを総括する、成果の公開と刊行に関する検討である。海外の専門学術誌への特集論文の投稿をはじめとして、複数の選択肢を念頭において、海外への公開と広いフィードバックを期待して、基本的に英語での成果の公開と刊行を検討している。 以上の三つの科研費プロジェクト全体としての企画と並行して、科研費メンバー各人の研究課題の追究は引き続き行いつつ、上述の国内シンポジウムあるいは国際会議の機会において、メンバーそれぞれの研究報告も行い、統括と最終成果の取りまとめに向けて進展を図る予定である。
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Research Products
(24 results)