2015 Fiscal Year Annual Research Report
ケアの倫理の民主主義的展開ーーフランスにおけるケアの倫理受容研究を通じて
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15H03145
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
岡野 八代 同志社大学, グローバル・スタディーズ研究科, 教授 (70319482)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
GONON Anne 同志社大学, グローバル地域学科, 教授 (50268116)
菊池 恵介 同志社大学, グローバル・スタディーズ研究科, 准教授 (70536945)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | ケアの倫理 / フランス / マルクス主義 / フェミニズム |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、フェミニズム理論の一つであるケアの倫理を、フランスにおけるケア研究の動向を研究することを通じて、「民主主義」理論として再構築することを目的としている。まず、本研究を遂行するための拠点作りとして、同志社大学にフェミニスト・ジェンダー・セクシュアリティ研究センター(FGSSセンター)を設置し、2015年7月以降、内外に向けた研究発信を始めた。 2015年9月には、全国の院生・市民を募り、フェミニズム研究の基礎をめぐり、社会学、地域研究、平和学、政治思想史など各分野から連続講義を行った。さらに、「慰安婦」問題、同性パートナーシップ、フェミニズム運動などにかかわるイベントを計6回開催した。そして、本年度の締めくくりとして、2016年3月には、フランスから3名のケア研究者を招聘し、""The Meanings of Care" in Different Traditions"と題した国際ワークショップを同志社において確認し、フランスと日本におけるケアの倫理の受容のありように関して、共通理解、問題意識、政治的可能性について確認を行った。 本年度の成果として、国際ワークショップでの共同研究者たちの協力を得て、日本におけるケアの倫理の源流に「マルクス主義的フェミニズム」の影響が存在すること、したがって、ケアの倫理が現在の資本制、とりわけネオ・リベラリズム批判の可能性を秘めていることが明らかにされた。 また、その他の理論研究としては、「自然災害(被害)」、「国家暴力」、「植民地主義」、「経済合理性」に抵抗しうる民主主義理論としてケアの倫理を再定義することにむけた議論を、公刊論文として発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
予定通りFGSSセンターを立ち上げ、多くの研究協力者を得て順調にイベントを行った。当初に予定されていた以上の発信力をつけることができた。また、フランス研究者との共同研究についても今後の研究にむけて、しっかりとした信頼関係・問題意識の共有がもてた。 研究成果についても、研究分担者とともに多くの成果を得ることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度は本年度以上に、フランスにおける研究動向をめぐる研究を遂行していく。研究代表者は、フランスに滞在し、資料収集、共同研究をさらに進める。
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Research Products
(15 results)