2017 Fiscal Year Annual Research Report
Democratic Development of the care ethics: Through the study of French Feminists' Understanding of the care ethics
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15H03145
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
岡野 八代 同志社大学, グローバル・スタディーズ研究科, 教授 (70319482)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菅野 優香 同志社大学, グローバル・スタディーズ研究科, 准教授 (30623756)
GONON Anne 同志社大学, グローバル地域文化学部, 教授 (50268116)
菊池 恵介 同志社大学, グローバル・スタディーズ研究科, 教授 (70536945)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | ケアの倫理 / 安全保障 / 民主主義 |
Outline of Annual Research Achievements |
日仏の合同研究としても計画されていた本研究の目的のひとつは、ケアの倫理を社会政策立案のさいの規範的原理としても提示することであった。なお、本年度の当初計画によれば、フランスにおけるフェミニズム思想におけるケアの倫理の位置づけを明確にするために、マテリアル・フェミニストを招いた国際シンポジウムを開催する予定であったが、招聘者の体調のために、次年度へと繰り越された。 本年度は、研究代表者がパリ第8大学にて研究を行ったこともあり、ヨーロッパを中心とするケア研究のネットワークに参加することが適い、研究発表を通じて、ヨーロッパのケアの倫理研究者たちとの強いつながりを構築することができた。また、その報告を通じて、合衆国におけるケアの倫理と民主主義研究の第一人者である、ジョアン・トロント教授とも研究交流することができ、来年度開催されるケアの倫理研究コンソーシアムへの参加も予定されることとなった。なお、本年度報告した原稿については、近いうちに刊行される予定である。 理論的な展開としては、ケアの倫理がいかに平和研究と親和性をもち、批判的安全保障研究のなかではすでに、その知見が影響力をもっていることを明らかにしたことが大きい。ケアの倫理は、安全保障研究という男性中心主義的な知の体系への批判となりうる、という点まですでに解明していたが、じっさいにそうした男性中心主義的な体系であると批判してきた、批判的安全保障研究とのつながりを明らかにできたのは、特筆に価すると考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
なによりも、本研究の大きな目的のひとつであった、国際的なケアの倫理研究のネットワーク作りに貢献できたことが大きい。フランスだけでなくヨーロッパの動向を知る機会を得、さらに、合衆国における最新の動向を共有できるコンソーシアムにも参加することが確定できた。今後さらに、研究の国際的な展開が期待される。 また、新自由主義とそれに伴い生じている、排外主義的な傾向を考察し、そうした現象をいかにケアの倫理によって捉えかえすことができるのかという新たな課題が生まれた。 ただ、当初予定していた、本年度開催の国際シンポジウムに関しては、招聘講師の方の体調悪化が理由として開催が適わなかった。来年度に開催する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
新自由主義、グローバル化のなかで安全保障化と新自由主義が進むなか、国際情勢のなかで、いかにケアの倫理が民主主義を実現するために貢献しうるのか、という観点からさらに研究を進める予定である。また、本年度実現することが適わなかった国際シンポジウムの開催については、来年度、本年度得た知見に基づいて、戦争とケアの倫理との関係にさらに焦点をあてたテーマを検討する。
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Research Products
(11 results)