2016 Fiscal Year Annual Research Report
The Acceptance and Development of Indian Buddhist Logic in East Asia
Project/Area Number |
15H03155
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
護山 真也 信州大学, 学術研究院人文科学系, 准教授 (60467199)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
稲見 正浩 東京学芸大学, 教育学部, 教授 (70201936)
師 茂樹 花園大学, 文学部, 教授 (70351294)
小野 基 筑波大学, 人文社会系, 教授 (00272120)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 仏教論理学 / ディグナーガ / 正理門論 / 因明入正理論 / 沙門宗 / 過類 / 因明 |
Outline of Annual Research Achievements |
インド仏教論理学研究と東アジア仏教論理学(因明学)の最新の成果を統合しながら,仏教論理学研究の新しい方法論の構築を目指す本研究では,昨年度に続き,合同研究会を中心として,以下の実績を達成した。 1. 8月29-30日に信州大学で開催された第3回因明科研研究会には,中国・台湾における因明学研究の第一人者である林鎮圀(Lin Chen-kuo,国立政治大学),湯銘鈞(Tang Mingjun,復旦大学)の両名を招待し,『如実論』英訳研究,『正理門論』漢文校訂研究の最新の成果が示された。また,室屋安孝氏から『正理門論』の日本古写経に関する研究報告を受けた。また,小野・師(分担研究者)が中心となり,『集量論注』他からの『正理門論』「過類」段の梵語原典の復元作業と翻訳研究,沙門宗の注釈に基づく解読研究を実施し,「無異相似」までの検討を終えた。 2. 3月23日に稲見(分担研究者)の運営により,東京学芸大学で開催された第4回因明科研研究会では,ウィーン大学にて室屋安孝・渡辺俊和両氏と研究打ち合わせを行った小野が中心となり,『正理門論』「過類」段の科段についての新解釈が提示された。また,師から沙門宗の注釈文献から回収される定賓の科段についての報告がなされ,合わせて,「可得相似」まで解読研究が進められた。この研究会には,程氏をはじめ複数の中国人研究者の参加があり,研究会の活性化が進んだ。 3. 上記とは別に,各研究者は個別に因明学関連の研究を進め,その成果を日本印度学仏教学会(9月3-4日,東京大学)・国際シンポジウム(12月10-11日,復旦大学)などで発表した。 4. 護山は,『因明入正理論疏』における四相違の箇所に関する解読研究の成果を論文として公刊した。また,稲見は,仏教論理学における論証式の形式の歴史的変遷について,インド・中国・日本の文献を解読しながら,再検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度より小野基氏が分担研究者に加わったことで,『正理門論』「過類」段に関する,梵文回収,『集量論』他のディグナーガの著作ならびに,『如実論』他の初期インド仏教論理学文献との比較研究と師氏が中心となって進めている沙門宗の貴重な注釈文献の解読研究とを合わせた形での研究成果の公開に向けての道筋が定まった。 また,護山が進める『因明入正理論疏』「四相違」の箇所に関する解読研究についても,その成果の一部が公開されたことで,最終年度のプランが定まってきた。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度における成果のまとめに向けて,二回の合同研究会にて,『正理門論』「過類」段の総合的研究を完成させることに加えて,トロントでの国際仏教学会(IABS)でのパネルTransmission and Transformation of Buddhist Logic in East Asiaを運営することで,英語と日本語での研究成果の公表に向け,万全の準備をしてゆく所存である。
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Research Products
(13 results)