2017 Fiscal Year Annual Research Report
近代京都の美術・工芸に関する総合的研究-制作・流通・鑑賞の視点から-
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15H03169
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Research Institution | Kyoto Institute of Technology |
Principal Investigator |
並木 誠士 京都工芸繊維大学, デザイン・建築学系, 教授 (50211446)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 敬二 京都精華大学, デザイン学部, 教授 (00434738)
中尾 優衣 独立行政法人国立美術館東京国立近代美術館, 工芸課, 主任研究員 (00443466)
高木 博志 京都大学, 人文科学研究所, 教授 (30202146)
木立 雅朗 立命館大学, 文学部, 教授 (40278487)
田島 達也 京都市立芸術大学, 美術学部/美術研究科, 教授 (40291992)
実方 葉子 公益財団法人泉屋博古館, 学芸課(本館), 学芸課長 (40565587)
三宅 拓也 京都工芸繊維大学, デザイン・建築学系, 助教 (40721361)
和田 積希 京都工芸繊維大学, 美術工芸資料館, 特任助教 (50746112)
中川 理 京都工芸繊維大学, デザイン・建築学系, 教授 (60212081)
青木 美保子 京都女子大学, 家政学部, 准教授 (80390102)
松尾 芳樹 京都市立芸術大学, その他部局等, 学芸員 (80728105)
矢ヶ崎 善太郎 京都工芸繊維大学, デザイン・建築学系, 准教授 (90314301)
加茂 瑞穂 京都工芸繊維大学, 研究戦略推進本部, 京都工芸繊維大学特別研究員 (70705079)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 京都 / 近代 / 美術学校 / 博覧会 / 図案 / 商品陳列所 / 漆芸 / 染織 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成29年度の活動としては、①継続的な調査の実施、②研究会の開催がおもなものである。 ①に関しては、本科研で初年度より調査を続けている福山市某家の調査を継続して実施した。これまでに掛軸、陶磁器が終了していたが、今年度は屏風の調査を終えて、漆芸品についても大部分を終了した。今後も継続的な調査が必要であるが、現時点でも、京都・福山間の作品の移動や地元の絵師と京都画壇の関係など、いくつかの新知見が明らかになっている。また、京都市内N家の調査では、これまで未紹介の迎田秋悦、柴田是真などの漆芸、絵画作品を実見し精査することができた。とくに漆芸作品については、制作・伝来の経緯、使用方法などを明らかにすることができ、近代京都の美術工芸についての重要な知見を得ることができた。さらに、京都高等工芸学校で浅井忠にまなんだ長谷川良雄が所蔵していた大量の絵葉書類も調査することができ、ここでも、未発表の貴重な作品の存在を確認することができた。海外では、ロンドンのヴィクトリア・アンド・アルバート美術館において、近代京都関係の漆芸作品および下絵類を網羅的に調査することができた。 ②は、年度内に二回の研究発表会を実施したが、そこでは、竹内栖鳳画塾や五条坂の窯跡調査結果、京都における守住勇魚の活動など新しい知見が発表された。また、学会発表等も活発におこなった。初年度以降の研究会および分担者の研究の成果は、すでに15本の原稿があつまって論文集としてまとめる作業に入っており、平成30年度内に刊行の予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
京都市内N家のように、これまでまったく知られていなかったコレクション、長谷川家の絵葉書類、および、ロンドンのヴィクトリア・アンド・アルバート美術館において、近代京都関係の漆芸作品類など、これまで未紹介、未発表の重要作品を数多く調査することができ、それを研究会の場で分担者、協力者と共有することができた。また、美術学校のカリキュラム、懸賞図案募集のシステムなど、これまで明確に理解されていなかった事項について、文献史料の分析や資料の博捜により明らかにすることができた。以上の成果は、近代京都の美術工芸の総合的研究のなかで重要な位置を占める内容であり、当初の計画以上に研究が進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の実施により、近代京都の美術工芸については、いまだに多くの未紹介、未発表資料が存在している可能性が確認できた。今後も、このような発掘作業は継続してゆく必要があると考える。また、本科研の組織が、絵画、工芸、建築、庭園、考古遺物、デザイン、近代史など多様な分野に広がっていることが、近代京都の美術工芸の実態解明にきわめて有効であることが確認できた。それぞれの分野において、上記のような未紹介資料が存在するということから考えれば、本研究主題を今後も継続する必要があると考えている。 今後さらに必要となってくる分野としては、近代京都の教育史、科学史などが考えられる。美術学校に限らず、高等教育機関で使用される教材が美術工芸と密接にかかわっているという点、産業革命の結果、美術工芸と科学のかかわりが重要なテーマとなり得る点が、本研究遂行にあたり確認できたからである。
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Research Products
(14 results)