2016 Fiscal Year Annual Research Report
バラッド文化とメディア:18・19世紀のバラッド・ソング・物語詩の出版を中心に
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15H03188
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
三木 菜緒美 (服部菜緒美) 帝京大学, 福岡医療技術学部, 准教授 (20461535)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中島 久代 九州女子大学, 共通教育機構, 教授 (90227778)
宮原 牧子 筑紫女学園大学, 文学部, 准教授 (00636524)
鎌田 明子 戸板女子短期大学, その他部局等, 准教授(移行) (00533580)
伊藤 真紀 福岡工業大学, その他部局等, その他 (10750739)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | ブロードサイド・バラッド / 英語圏文化 / メディア / アイルランド / スコットランド / バラッド詩 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度は、メンバーによる研究会を2度開催し、情報交換、進捗状況と今後の課題計画について話し合った。また研究メンバー2名(三木と中島)は、アイルランドのリムリック大学にて、6月27日~7月1日に開催された「第46回国際バラッド学会(The 46th International Ballad Commission Annual Conference)」に出席し、「バラッド」がヨーロッパ各地で広く受け入れられ、それぞれに社会的、政治的な役割を果たしていることを確認した。各メンバーの活動内容は以下の通り。三木:18世紀アイルランドのバラッド文化として印刷・出版・教育の歴史についての資料収集、歴史整理を行った。印刷出版文化の発展に伴い、ヘッジ・スクールでのチャップブック活用が盛んになったこと、その大衆文学の中に多くのバラッドの素材が認められることについてまとめ、論文「18世紀アイルランドの印刷と教育、そして大衆文学の中のバラッド文化」として発表した。中島:18世紀イングランド及びスコットランドにおける印刷・出版文化と読者層の変化について資料収集と概要のまとめを行った。まとめについては論文「イングランド・スコットランドにおける一般読者層の拡大と印刷文化の定着」として発表予定である。宮原:19世紀のアウトロー・バラッド詩について、Sir Walter Scottの作品を中心に、ロビン・フッド像、アウトロー像について分析し、Scottのアウトロー・バラッド詩の系譜上の意義についての検証を行い、論文「19世紀アウトロー・バラッド詩の系譜(1)」として発表した。鎌田:John Keats作 'Ode to Psyche' のスタイルと内容の関連について考察し、論文「A Study of 'Ode to Psyche'- From Pindaric Ode to Ronde」として発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成28年度の研究計画に挙げられている (1)各地域の出版文化やバラッド詩に関する資料収集、歴史整理、及び検証、(2)研究会実施と国際バラッド学会参加、(3)それぞれの地域の情報・意見交換など、概ね順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
1) 平成29年度は、研究分担者1名が育児休暇を取るため、組織として5人計画であったが、4人で実施していく。対応策であるが、次年度の計画は再び「個別研究」の年となっていること、また研究地域は他の分担者がカヴァーできることから、全体的な研究計画に問題はない。 2) 5月末にはイタリアのシチリア大学にて The 47th International Ballad Commission Annual Conference が開催されるので、研究メンバー2名が計画通り参加する。 3) 全体として研究会を2, 3回開き、それぞれの研究・資料情報・意見の交換を行い、本研究課題の成果発表実施計画について話し合う。 4) アイルランドに関する研究では、計画を変更し、昨年度に引き続き、チャップブックやリプリント産業とバラッド文化の関わりについて詳細に検証していく。18世紀イングランドに関する研究では、計画していた通り、ロマン派時代の読者のバラッド受容の特徴について考察を行う。また19世紀イングランドに関する研究では、計画されていた課題はすでに1年目に行っているので、今後は昨年度に引き続き、アウトロー・バラッド詩の系譜研究を行っていく。スコットランドに関する研究では、引き続き、エディンバラを中心とした印刷文化の定着と一般読者層の拡大を視点として資料収集を行い、18世紀および19世紀におけるスコットランドの詩のアンソロジーの出版の社会的貢献について論考する。
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Research Products
(3 results)