2018 Fiscal Year Annual Research Report
中国伝統演劇・芸能文化の域内・域外における、成立と伝播・変容に関する総合的研究
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15H03196
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
福満 正博 明治大学, 経営学部, 専任教授 (60165313)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加藤 徹 明治大学, 法学部, 専任教授 (80253029)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 儺戯 / 和番記 / 目連戯 / 海外中国戯劇史家自選集 / 京劇 / 崑曲 |
Outline of Annual Research Achievements |
福満、①資料集の準備 安徽省池州市で収集した儺戯の劇本を活字化して、資料集として出す予定である。現在は、『太和章村、和番記』『邱村柯“劉文龍”、下集』『東山呉劉文龍』『縞渓曹、儺戯“劉文龍”』『章永芳、和番記』『風火劉、劉文龍』『西華姚、劉文龍』の7種について、活字化を進めた。次年度には完成する予定である。 ②翻訳本の準備 中国最古の演劇は「目連戯」と考えられている。「目連戯」も、儺戯の問題を考えるうえで、欠かせない問題である。現存する「目連救母」劇の作者鄭之珍も、池州市の出身である。この目連戯について中国の代表的な研究書である劉禎氏の『中国民間目連文化』の翻訳に取り組んでいる。 加藤徹、①紀要論文: 京劇・崑曲など中国伝統演劇の日本公演の動態についての研究調査を以下の論文にまとめた。「日本における京劇の動態と課題 2018」明治大学大学院教養デザイン研究科紀要『いすみあ』11号,2019年3月31日,pp.143-104 ②研究会での発表: 2月28日(木)成城大学で行われた中国・首都師範大学一行、成城大学(劉穎教授他)、電気通信大学(范建明教授)、明治大学(加藤徹)その他による日中詩吟文化比較の合同研究会で、加藤は日本に伝わった中国伝来音楽と詩吟について発表した。2019年7月にも再度、同様の合同研究会を東京で開催する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
福満 池州市で収集した劇本を資料集として出すことは、かなりの研究成果となる。「薛仁貴」については、一昨年に文研研究の成果を出している。「劉文竜」の文献研究の成果については、まだ未定である。 加藤徹 京劇の日本への伝播や、詩吟(中国語では「吟詩」)の日中比較などを題材に、研究成果をそれぞれの中国側の専門家と共有し、新たな研究へとつなぐ体制ができつつある。
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Strategy for Future Research Activity |
福満、「劉文龍」劇の斉言体と楽曲体の比較を進める。また「中国民間目連文化」の翻訳を進めるとともに、敦煌文献をはじめとする唐代の資料を再検討して儺戯に関する研究を深めるつもりである。
加藤、福満正博教授が代表をつとめる明治大学東アジア文化研究所と、中国北方崑曲劇院の共催で、実際に明治大学で崑曲「牡丹亭」の舞台上演を行い(2019年5月31日に実施予定)域外伝播の実態を参与観察的に検証する。 また京劇の詞章における斉言体と楽曲体を比較し、また日本の詩吟と中国の吟詩における斉言体と楽曲体の比較を行することで、中国の韻文と音声芸術の域外伝播の特徴を再検討する。
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Research Products
(2 results)