2015 Fiscal Year Annual Research Report
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15H03202
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
三原 芳秋 一橋大学, 大学院言語社会研究科, 准教授 (10323560)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松嶋 健 広島大学, 大学院社会学研究科, 准教授 (40580882)
高田 明 京都大学, 大学院アジア・アフリカ地域研究研究科, 准教授 (70378826)
岡本 雅史 立命館大学, 文学部, 准教授 (30424310)
花田 里欧子 東京女子大学, 現代教養学部, 准教授 (10418585)
太田 貴大 長崎大学, 大学院水産・環境科学総合研究科, 准教授 (30706619)
鵜戸 聡 鹿児島大学, 法文学部, 准教授 (70713981)
高梨 克也 京都大学, 情報学研究科, 研究員 (30423049)
比嘉 理麻 沖縄国際大学, 総合文化学部, 講師 (00755647)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 生態学的転回 / 理論的基盤の構築 / 共通理解の深化 / 学際的な対話・討論 / 海外ネットワークの構築 |
Outline of Annual Research Achievements |
本学際的共同研究は、文学理論の「転回」を起爆剤として人文学全般の「生態学的転回」を綜合的かつ実践的に推し進めるという目的を達成するために、研究期間(3年間)を準備・発展・発信の三段階に見立てて実施計画を策定した。初年度にあたる平成27年度は「準備」期間として、共同研究の基盤となる共通理解を深めるべく「座学」を中心とした研究会に軸足を置くこととなった。 具体的には、計6回(のべ8日間)の研究会を開催し、内山節(担当:高梨)、グレゴリー・ベイトソン(担当:花田)、ティム・インゴルド(担当:中谷)、イヴァン・イリイチ(担当:赤嶺)、ウィリアム・F・ハンクス(担当:高田)、メルロ=ポンティ(担当:川上)のテクスト紹介およびそれにもとづく討議を中心にした定例会合を継続する一方で、外部からゲスト・スピーカーを招聘し、研究報告・討論会を3回実施した(加國尚志氏(立命館大学)「メルロ=ポンティと自然の問題」(指定討論者:太田、比嘉、赤嶺)、篠原雅武氏(大阪大学)「ティモシー・モートンと〈自然〉なきエコロジーの思想」(指定討論者:三原、太田)、廣瀬浩司氏(筑波大学)「制度とキアスム装置 ― メルロ=ポンティ、フーコー、ウリを手がかりに」(指定討論者:花田、中谷))。いずれの会合も、共同研究メンバー間の知識の共有ならびに共通理解の深化という点でたいへん有意義なものとなり、また「生態学的転回」を軸に人文諸科学のさまざまな分野において大きなうねりが起きつつあることへの確信を得ることができた。 海外ネットワーク構築については、高田が英国グラスミアで開催された2015サタースウェイト・コロキアムへ参加しリチャード・ワーブナー教授らと、三原がコロンビア大学で開催された神智学をめぐる国際学会に参加しゴウリ・ヴィシュワナータン教授らと、それぞれ意見交換を行い連携を深めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
次年度(平成28年度)以降の「発展」「発信」という展開のための理論的基盤の構築、および、共同研究メンバー間の知識の共有ならびに共通理解の深化という「準備」期間の目的は、(ほぼ)隔月・原則全員参加で実施された「エコゾフィー研究会」によって、おおむね理想的なかたちで達成されたと考えられる。 哲学・人類学から臨床心理学・動物行動学にいたるまで、共同研究メンバーやゲストスピーカーそれぞれの専門や関心から専門知識ならびに問題意識を出し合いシェアすることにより、共同的知の構築が順調に進展したのみならず、翻って各自の専門領域へのフィードバックも積極的に行われた。たとえば「文学理論」の分野においては、ジュリア・クリステヴァの(インター)テクスト理論を「生態学的」に再発見するといった、研究開始当初は予想していなかった展開がみられた(三原芳秋「"Immature poets imitate; mature poets steal" ―― テクストの/における〈海賊行為〉にかんする予備的考察 ――」稲賀繁美・編『海賊史観からみた世界史の再構築(仮題)』思文閣出版、近刊予定)。 海外ネットワーク構築については、まだ直接目に見える成果を挙げてはいないが、国際学会に積極的にメンバーを派遣し、国際舞台における「生態学的転回」の現状を視察するとともに、そういった場において旧交を温めつつ新たな連携を模索する、というスタイルの有効性を確認することができたという点で、進展があったと考えられる。また、今年度(平成27年度)に力を入れた国内における研究者ネットワーク構築の副産物として、新たに知己を得た国内研究者の紹介等を通じて海外で活躍する一線の研究者たちにかんする情報を多く収集することができ、このことも、次年度(平成28年度)以降の「発展」への布石という意味で、潜在的に重要な進展と見なすことができるであろう。
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Strategy for Future Research Activity |
上記のように、本年度(平成27年度)は共通の「理論」的基盤を構築するための「座学」に重きをおいたが、その成果もふまえ次年度(平成28年度)以降は、「フィールドに出ること」を重視した共同研究を推進していく方針である。具体的には、芸術制作や農林水産業・工業等の現場で活躍しているアーティストや「ものづくり」職人などを訪ね、その「現場」を共有することによって、人文学における「生態学的転回」の実践的なあり方を共同で思考していくようなフィールドワークを実施する予定である。なかでも、長期休暇中に計画している奄美群島における共同フィールドワークは、本共同研究の〈中間報告〉としての意義を有するものとなるだろう。 また、国内外のネットワーク構築を引き続き積極的に行い、いままでのところ〈点〉として開拓してきた人間関係を、〈線〉として結び合わせ、さらには〈ネットワーク〉として機能するようになる基盤を、徐々に整備していくよう努力する。
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Research Products
(40 results)
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[Journal Article] ”The Development of Solution Building Inventory Japanese version: Validation of the SBI-J 3”2015
Author(s)
Takagi, G., Wakashima, K., Sato, K., Ikuta, M., Hanada, R., & Smock, S. J.
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Journal Title
International Journal of Brief Therapy and Family Science
Volume: 5(1)
Pages: 19-25
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
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