2015 Fiscal Year Annual Research Report
18 ~20世紀の糸・布・衣の廉価化をめぐる世界史
Project/Area Number |
15H03233
|
Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
杉浦 未樹 法政大学, 経済学部, 教授 (30438783)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 桂子 立命館大学, 衣笠総合研究機構, 教授 (10551137)
角田 奈歩 東京大学, 東洋文化研究所, 特別研究員 (10623209)
後藤 絵美 東京大学, 東洋文化研究所, 助教 (10633050)
大石 泉 (竹田泉) 和光大学, 経済経営学部, 教授 (20440216)
鵜飼 敦子 東京大学, 東洋文化研究所, 特別研究員 (30584924)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | 布 / 衣服 / 糸 / 価値 / 混織 / 世界市場 / 消費 / グローバル・ヒストリー |
Outline of Annual Research Achievements |
初年度開始後、研究分担者と研究協力者でまずは4月に顔合わせを行い、さらに7月に定例研究会として、ラリッサ・ザハロワ博士(EHESS)を招き「ソ連のファッション産業」を開催した。本年度の主眼は、プロジェクトに参加する国内・海外研究者が一堂に集まる、国際会議を東京大学の東洋文化研究所において、7月末に開催したことにある。ひきつづき、8月初旬には同趣旨のパネルセッションを国際学会において主催し、それらの成果を、数か月で論文集にまとめ、現在出版社に申請中であり、28年度中の出版を計画している。これらが実現できた点で、全体テーマの設定が明確になった。またサブプロジェクトを立てる上で、海外パートナーと打ち合わせができた。とりわけ「アフリカン・プリント」のプロジェクトでは、研究分担者の鈴木桂子氏のもつプロジェクトとの共同作業が進み、7名の研究者が積極的に推進するチームができあがり、研究計画を具体化させた。 秋には、チューリッヒ大学の美術史家トムセン教授を囲む研究会を行い、また、京都女子大学の青木美保子教授を囲み、来年度のデパート調査を推進するための準備となるレクチャーセミナーを行った。研究協力者で、コアメンバーの井上直子氏を中心に、銘仙をめぐる技術を群馬・埼玉・八王子で調査し、発表した。 一方、夏からさらにテーマを絞って糸・布・衣を区分を超えて扱おうという「トランスファイバー」のプロジェクトとして、パリのEHESSのスタンツィアーニ教授の主催するグローバルヒストリーセミナーで、ワークショップを開催した。イギリスの織物・衣服史をリードするジョン・スタイルズ氏との共同セミナーで、氏と打ち合わせを重ね多くを得た。その間にも、研究代表者や分担者は精力的に海外調査を行い、ドイツ・イギリス・フランス・オランダ・エジプトに足を運び、資料収集を行い情報共有をはかった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の計画以上に進展しているとした根拠は以下にある。 1.予想以上に海外パートナーとの協力が推進できそうである。初年度に国際会議と国際学会があったことの影響と、GHC(GLOBAL HISTORY COLLABOLATIVE)と連携しあっている効果が大きく、研究に密接に結び付く海外研究者を新たに招くことができた。三月にセミナーを共同主催したJohn Styles氏があげられる。またすでに協力を仰いでいた研究者とも、会議を通じてより具体的な共同研究が推進できそうである。 2.国際共同加速基金に採択された。1にも関連して、国際共同加速基金に代表者が選出されたため、海外研究者との共同研究が具体化し、それと連動して研究の方向性も明確になり、さらなる展開がみこめそうである。 その一方で、予期せず実現できないこととしては、初年度にすべての核となるメンバーの海外調査を想定していたが、一部果たせず、次年度にまわす。また研究協力は単に広げるだけでなく、具体的に成果を出していけるよう、より一層注意する必要があるだろう。
|
Strategy for Future Research Activity |
28年度は、研究計画書でチームわけしたうちの「衣」への注目が高い年である。 その主眼は、7月に衣服の世界会議に出席し、研究代表者・分担者それぞれが昨年度とはまた異なった発表を行うことである。これによって、必ずしも衣服が専門でない研究者が、その成果を客観的に問い、テーマの重要度を訴えられるかをはかる。一方、研究代表者は4月にアメリカ東海岸に出張し、来年度に主催する美術史との国際ワークショップを準備する。同時に「トランスファイバー」のプロジェクトのために、18世紀の商人帳簿や布サンプル帳を調査するなど、来年度準備とプロジェクトごとの資料集めを積極的に行う。これらの成果は竹田(大石)氏の海外調査にひきつぎ、協力しあう。また、研究代表者とコア・メンバーの井上氏で、「技術史」の観点からも発表を行う。 後半には、井上氏を中心にデパート文書の調査を行う。さらに初年度と今年度のメンバーの関心を共有するため、国内研究会をひらき、「洋装」のありかたの再検討のため、「長州ファイブ」をとりあげ、議論する場を設けたい。
|
Research Products
(31 results)