2015 Fiscal Year Annual Research Report
近現代日本における「議会政治」の再検討:両院事務局所蔵の未公開資料群に基づいて
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15H03238
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
奈良岡 聰智 京都大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 教授 (90378505)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 和幸 青山学院大学, 文学部, 教授 (00211904)
笹部 剛史 (若月剛史) 成蹊大学, 文学部, 助教 (30625744)
小宮 京 青山学院大学, 文学部, 准教授 (80451764)
大石 眞 京都大学, 学内共同利用施設等, 教授 (90091660)
赤坂 幸一 九州大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 准教授 (90362011)
萩原 淳 京都大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 助教 (50757565)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 政治史 / 憲法史 / 議会 / 議会事務局 / 政党 |
Outline of Annual Research Achievements |
①両院事務局所蔵資料の分析:昨年度は、衆議院本会議の議事進行および列国議会同盟に関係する資料群の閲覧を衆議院事務局から許され、その調査・分析を進めた。併せて、同事務局国際部OBへのインタビューを実施した。後者については、来年度には記録を刊行する準備を進めている。参議院事務局所蔵資料については、現在事務局自身による資料の整理・目録作成作業が進行中であり、その進行状況を照会しつつ、今後の調査の可能性を探っているところである。 ②私文書の調査・整理・出版:研究計画に従って、「議会政治」の運営に携わった政治家や議会官僚などの私文書の調査・整理を進めた。本年度はこのうち最重要史料と目される「河井弥八日記 戦後篇1(昭和20-22年)」(信山社)を刊行した。本日記には、終戦期から日本国憲法発布に至る時期の貴族院などの動向を詳細に記されている。今後、戦前から戦後にかけての「議会政治」再編について考える上で必須の資料として活用されることが見込まれる。 ③イギリスにおける調査の実施:イギリスの公文書館、大英図書館、オックスフォード大学ボードリアン図書館、ケンブリッジ大学チャーチル・アーカイブズ・センター、保守党文書館において、議会関連資料の保存・公開・利用に関する調査を行った。 ④定例研究会の開催:2015年7月に衆議院事務局において定例研究会を開催した。講師として加藤陽子氏(東京大学教授、国立公文書館の機能・施設の在り方等に関する調査検討会議メンバー)を招聘し、議会関係資料の保存・公開のあり方について議論を行った。また、2016年3月に河井弥八記念館でシンポジウムを開催した。以下の講演と活発な意見交換が行われた。清水実氏(静岡県近代史研究会幹事)「浜松県地租改正と交換米問題、小笠地域の地価修正運動と河井重蔵」、赤坂幸一(九州大学准教授、分担者)「河井弥八をめぐる憲法政治」
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
①衆議院事務局所蔵資料については、当初予定していた以上の資料を調査・分析することができた。 ②私文書については、予定通り「河井弥八日記」刊行を開始することができた。現在第2巻の刊行に向けた準備も順調に進んでいる。また、その他の私文書の調査も実施し、来年度にはその成果の一部を刊行できる予定である。 ③これまで日本でほとんど知られてこなかったイギリス保守党文書館などで調査を実施できたのは、大きな成果であった。現在その成果を論文などとしてまとめる準備を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
①衆議院事務局資料については、本年度の成果の上に立ち、来年度に引き続き本格的分析を進めていく予定である。参議院事務局所蔵資料については、事務局自身による整理が進行中であり、その進展を俟って調査を行いたい。 ②本年度に引き続き、「河井弥八日記 戦後篇2(昭和23-26年)」(信山社)を刊行する予定である。またその他の私文書についても、成果の一部を刊行できる見込みである。 ③イギリスでの史料調査を踏まえ、議会文書の保存・公開・活用についてより実際的な検討を進めていきたい。具体的には、国会図書館でのワークショップの開催、議会関係の文書館の機能について紹介する論文の発表などを計画している。 ④以上の成果を踏まえ、個別テーマの研究も深化を図り、著書や学術雑誌などの形で公表していく。
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Research Products
(17 results)