2017 Fiscal Year Annual Research Report
近世初期永青文庫細川家文書の総合的解析による藩政確立過程の研究
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15H03240
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
稲葉 継陽 熊本大学, 永青文庫研究センター, 教授 (30332860)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山口 和夫 東京大学, 史料編纂所, 准教授 (00239881)
林 晃弘 東京大学, 史料編纂所, 助教 (10719272)
今村 直樹 熊本大学, 永青文庫研究センター, 准教授 (50570727)
三澤 純 熊本大学, 大学院人文社会科学研究部(文), 准教授 (80304385)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 大名家資料群 / 大名家資料学 / 初期藩政史料 / 細川家文書 |
Outline of Annual Research Achievements |
細川家忠利が家督を相続し、次代の細川光尚による統治体制が整うまでの、元和~正保期における藩政史料群の大まかな構成は、以下の通りである。(1)細川忠利奉行宛発給文書・裁可文書原本(約2,300通)(2)細川忠興・忠利奉行等宛発給文書控綴り(約45冊3,400丁)(3)奉行衆発給文書控綴り(約270冊14,200丁)(4)細川忠利御諚・決裁控綴り(約83冊5,150丁)(5)奉行衆合議記録(約195冊12,420丁)(6)編纂物(約120冊12,000丁) 【史資料細目録の作成】本年度は、(2)(3)(5)(6)から約6,300件の細目録を作成することができた。 【研究成果の一般化に向けた活動】研究成果を一般に公開するため、公益財団法人永青文庫との共催展「天下泰平と細川家」開催した。また、熊本大学附属図書館との共催で「第33回貴重資料展 近世熊本城の被災と修復」を開催し、ともに多くの市民が閲覧した。さらに、研究の国際化のために、モスクワで開催された国際歴史会議総会に付随するシンポジウムに出席し、研究成果の一部を英語で講演した。 以上により、我が国を代表する大名家資料群の細目録作成による、成果の学界共有と一般への公開、さらに研究の国際化へとまた一歩前進した。 【発給文書写等の分析】目録作成とともに発給文書写及び合議記録等の分析を進展させた。小倉藩・熊本藩細川家では、すでに元和・寛永期から、奉行組織の下部さらには在地社会レベルから政策原案が起案され、稟議的な原案検討過程を経て、政策形成がなされていた事実が明らかになった。その成果の一部は平成30年度に単行本として公表する予定で、その原稿を完成させた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的である永青文庫細川家資料に含まれる17世紀前半までの藩政史料群の細目録作成は、おおむね順調に進捗している。本年度は、細川忠興・忠利奉行等宛発給文書控綴りや御錠記録及び奉行合議記録、それに奉行衆発給文書控綴りから、約6,300件の細目録を作成することができた。 難解な文書控の目録化を通じて、近世初期の藩政の実態解明を順調に進展させていると評価される。 また、二度にわたる外部機関との共催による展覧会の開催(研究成果の一般化)や、国際学会への英語による成果の発信など、研究成果の社会への還元と国際化に向けた活動も順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度は、細川忠興・忠利奉行等宛発給文書控綴りや御錠記録及び奉行合議記録、それに奉行衆発給文書控綴りから、細目録を4,000件程度作成し、併せて調書内容の総合的検討を深化させる。 資料研究の主要な成果は「永青文庫初期藩政史料目録」の刊行という形で公表する予定である。 研究成果の社会への還元については、熊本県立美術館、八代市立博物館との展覧会共催を予定しており、国際化については、研究成果の一部を2019年刊行予定の〝Cambridge History of Japan 1〟 に寄稿する。
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Research Products
(15 results)