2016 Fiscal Year Annual Research Report
日記資料に基づく高度成長期日本民衆のデモクラシー意識の特徴と変容に関する研究
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15H03243
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Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
吉見 義明 中央大学, 商学部, 教授 (40102884)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 祐介 明治学院大学, 教養教育センター, 助教 (40723135)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 民主主義 / 平和意識 / 民衆意識 / 高度成長 / 民衆の日記 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究代表者は、長野県筑北村で宮下土義日記(村長)、細田寸海子日記(主婦)の調査と収集を行なった。京都府では西山夘三日記(建築家)、大槻澪子日記(主婦)の調査と収集を行った。滋賀県ではある農民の日記の調査と収集を行なった。これらの一部または全部は写真撮影で収集した(農民日記は撮影を許可されなかったので、一部を筆写した)。細田氏については聞き取りも行なった。東京都で塚本昌芳日記(飲食業・不動産業)の一部をPDF化し、また、同氏への聞き取りを行なった。これらはいずれも、様々な角度から高度成長期の民衆意識の解明に資するものである。 「女性の日記から学ぶ会」所蔵の日記類の目録作りを行い、永井幸喜日記(実業家)を完了し、時岡八七子日記(主婦)などの目録の一部を作成した。また、国立国会図書館所蔵の日記類の調査を行い、全体の3分の1程度のチェックを完了した。奈良県立図書情報館所蔵日記の調査を行った。 さらに、平成27年度に収集した沖縄の日記に関する共同研究を行い、その成果の一部を公表した。 研究分担者は、主として「女性の日記から学ぶ会」所蔵の日記類の目録作りを行ない、笠原徳日記(小学校教員)などの目録作りを完了した。同会所蔵日記類の目録づくりは、高度成長期の研究の基礎となる多様な日記の内容を明らかにするもので、今後の研究に大きな寄与をなすであろう。また、韓国で開催された "The main kurrent of Personal Document Study in East Asia"というシンポジュームに参加し報告した。これは、同時代の東アジアの日記の比較研究に道を開くものとなるであろう。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定していた北海道での調査は日記所蔵者の同意が得られず、断念することになったが、長野・滋賀・京都・奈良・東京で日記の調査と収集を行うことができた。また、日記筆者からの聞き取りを行うことができた。中でも宮下土義日記・西山夘三日記・塚本昌芳日記はそれぞれ大部なものであり、今後の展開が期待できる。 「女性の日記から学ぶ会」所蔵の日記類の目録づくりに取り組むことができた。この日記類は膨大なものであり、完成すれば研究上の大きな貢献となると予測される。 収集した日記の分析と研究をし、その成果の一部を公表することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
①今年度も地域を特定して、日記の収集を継続したい。今年度は、九州・関東・岐阜(2回目)・長野(2回目)・京都(2回目)を検討中である。 ②「女性の日記から学ぶ会」の日記類の目録作りに取り組み、その完成に協力したい。 ③収集した日記の分析・研究を進めたい。 ④日本の高度成長期と同時代の東アジアの日記の存在・保存状況について目配りしたい。
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Research Products
(2 results)