2017 Fiscal Year Annual Research Report
日記資料に基づく高度成長期日本民衆のデモクラシー意識の特徴と変容に関する研究
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15H03243
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Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
吉見 義明 中央大学, その他部局等, 名誉教授 (40102884)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 祐介 明治学院大学, 教養教育センター, 助教 (40723135)
小薗 崇明 東京成徳大学, 人文学部, 助教 (60768240)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 民主主義 / 平和意識 / 民衆意識 / 高度成長 / 民衆の日記 / 生活世界 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究代表者は、研究協力者とともに、「野原武雄日記」1929年-1941年, 1948年-1956年, 1966年-1970年(岐阜県歴史資料館所蔵)・「宮下土義日記」1966年1月1日-1971年8月31日(個人蔵)の撮影を行い、また新たに「笠原徳日記」1954年-1989年(「女性の日記から学ぶ会」所蔵)の撮影を行った。また、関連する個人の日記約190冊を古書店から入手した。これらは、いずれも様々な角度から高度成長期の民衆意識の解明に資するものである。「女性の日記から学ぶ会」所蔵の日記類の目録作りを行ない、「時岡八七子日記」の目録化を完了した。また、国立国会図書館所蔵の高度成長期の日記類の調査を行い、本年度は全体の三分の一程度のチェックを行った。「女性の日記から学ぶ会」総会シンポジウムと八千代市中央図書館市制50周年記念シンポジウムに協力し、総論「日記にみる高度成長期」を担当・報告した。これは、次年度に予定している学術シンポジウムの準備を兼ねている。「野原武雄日記」の共同研究を行い、地域の遺族会会長としての軌跡を追い、その成果を公表した。 研究分担者(田中祐介)は、「女性の日記から学ぶ会」所蔵日記類の目録作りを継続し、これまでにその約8割を目録化した。また、韓国で開かれた「日記文化」に関するシンポジウムに参加し、日記に関する国際共同研究への糸口を開いた。また、近代の日記文化に関する著書の編集を行ない、刊行した。 12月に新たに研究分担者となった小薗崇明は、研究分担者としての活動の期間が今年度はほとんどなかったが、上記の「野原武雄日記」・「宮下土義日記」の撮影に参加した。 上記の調査・研究により、高度成長期の日本民衆のデモクラシー意識の特徴とその変容について、民衆世界の変容とともに、具体的に解明できる条件ができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は、岐阜と長野で調査を継続し、高度成長期を中心とする日記の撮影を行うことができた。また、「女性の日記から学ぶ会」の許可を得て、新たに「笠原徳日記」の高度成長期を中心とする時期の日記の撮影が完了し、小学校女性教員の意識の変遷を分析する素材をえた。「時岡八七子日記」の目録ができたので、専業主婦の生活世界の分析ができる手がかりができた。「宮下土義日記」の撮影が進捗したことにより、高度成長期に地域が抱える問題を、地域のリーダーの視点から解明する手がかりができた。また、「女性の日記から学ぶ会」主催の高度成長期の日記研究に関するシンポジウムに全面協力することにより、来年度に予定しているシンポジウムの実質的な準備を行うことができた。これらにより、今後の展開が期待できる。 「女性の日記から学ぶ会」所蔵の日記類の目録作りが一層進展した。この膨大な日記類の目録が完成すれば、研究上の大きな貢献となると予測される。 収集した「野原武雄日記」を用いて、分析と研究を行い、その成果の一部を公表することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
①高度成長期に関する新たな日記の収集を行いたい。今年度は東北地域の日記の収集を試みたい。また、「宮下土義日記」の高度成長期の撮影は、まだ数年分残っているので、今年度で完了させたい。 ②本年度も「女性の日記から学ぶ会」所蔵の日記類の目録づくりに取り組み、その完成に協力したい。 ③昨年度入手した近現代の個人の様々な日記(約190冊)の目録化を行ない、今後の研究に生かしたい。 ④収集した日記の分析・研究を進めたい。とくに「笠原徳日記」の分析を進めたい。 ⑤本年度は最終年なので、高度成長期の日記に関する学術シンポジウムを開催したい。
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Research Products
(8 results)