2016 Fiscal Year Annual Research Report
高度成長期の社会イメージ:「社会主義像」と「資本主義像」の文化史的考察
Project/Area Number |
15H03244
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Research Institution | Japan Women's University |
Principal Investigator |
成田 龍一 日本女子大学, 人間社会学部, 教授 (60189214)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
竹内 栄美子 明治大学, 文学部, 専任教授 (00236415)
鈴木 勝雄 独立行政法人国立美術館東京国立近代美術館, その他部局等, 研究員 (30321558)
高 榮蘭 日本大学, 文理学部, 教授 (30579107)
丸川 哲史 明治大学, 政治経済学部, 専任教授 (50337903)
黒川 みどり 静岡大学, 教育学部, 教授 (60283321)
渡辺 直紀 武蔵大学, 人文学部, 教授 (80409367)
島村 輝 フェリス女学院大学, 文学部, 教授 (90216078)
戸邉 秀明 東京経済大学, 経済学部, 准教授 (90366998)
坪井 秀人 国際日本文化研究センター, 研究部, 教授 (90197757)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 日本史 / 近現代史 / 文化史 / 高度成長 |
Outline of Annual Research Achievements |
高度成長文化研究会を定期的に開催し、各自の成果を共有した。7月10日には、研究分担者・竹内栄美子『中野重治と戦後文化運動』をめぐって、研究分担者・島村輝と尾西康允(三重大学)が問題提起をし、議論を行った。また、11月26日には、和田春樹『スターリン批判 1953-56』をめぐり、小沢弘明(千葉大学)、木下ちがや(政治学者)の問題提起を受け、和田を交えた議論を行った。高度成長期における社会、とくに今年度は社会主義認識についての共通認識を高めた。 こうした研究活動の成果は、アメリカの研究者との研究集会によって、国際的な還元を試みた。6月2日~6日まで、UCLAの国際ワークショップ「トランスパシフィック ワークショップ」に、研究代表者・成田龍一、研究分担者・渡辺直紀、同・坪井秀人、同・高榮蘭、岩崎稔(東京外国語大学)、鳥羽耕史(早稲田大学)が参加、報告した。また、同じメンバーに、長志珠絵(神戸大学)が加わり、10月19日~24日まで、アメリカ合衆国コロンビア大学での国際シンポジウム「大島渚とファスビンダー:戦後映画にみる家族のかたち」に参加し、議論をした。基調報告は、斉藤綾子(明治学院大学)が行った。 そのほか、成田は、8月6日に長野県高校歴史教育研究会で講演し、9月4日にオーラルヒストリー学会でコメント、10月29日、30日名古屋大学シンポジウム(「東アジアと日本語 同時代フォーラム 記憶の場の「戦後」」)でも報告をした。また、11月5日に日韓歴史家会議でのコメント、12月3日米欧回覧の会でもコメントを行い、成果を還元した。 また、各自が出版活動をおこない、随時、成果を公表している。高度成長の思想史を考察し、歴史学、文学史の領域で成果を着実にあげている。文献史料とあわせ、本研究では重要な核となる大衆文化にかかわる資料も、DVDをはじめ順調に収集し前進している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
定期的な研究会・高度成長文化研究会が年数回のペースで開催されているが、この研究会が他の科研と合同の研究会をおこなうにいたり、研究成果の共有がいっそう広汎になされるようになった。また、アメリカの研究者と共同のワークショップ、シンポジウムも定着しているほか、今年度は、オーラルヒストリー学会や、日韓歴史家会議に、研究代表者の成田龍一が参加し、研究成果をより広く還元することをおこなった。とくに、10月のコロンビア大学での国際シンポジウムは、戦後を映像によって考察するという試みであった。映画学の専門家によって、戦後日本と戦後ドイツを代表するふたりの監督の代表作が子細に分析され、日本とドイツにおける戦後の記憶のされ方を対比する試みを行った。また、議論においては、日本のドイツ研究(岩崎、坪井)、日本研究(成田、長)と、アメリカのドイツ研究、日本研究、さらにフランスのドイツ研究とが映像を介して討議し、多くの成果をあげた。このとき、渡辺・高の参加により、東アジアの射程での考察も組み込まれたことは特記しておきたい。 また、高度成長の把握について、中学校・高等学校の教員たちの依頼を受け、成田が講演し、あるいは歴史教科書の記述の推移について分析・報告をした。これも成果の還元である。 さらに、各自が出版・執筆活動をおこない、成果をさまざまな機会に公表していることも、本科研の活動を活発にしている。戦後思想史のなかで手薄であった、高度成長期の思想史をめぐって、歴史学、文学史の領域で成果を着実に公表している。成田『「戦後」はいかに語られるか』は、そうしたなかでの所産である。
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Strategy for Future Research Activity |
本科研の目的を達し、成果を上げるために、国内での研究会、および国外での研究活動・研究集会を、いっそう充実させる。すなわち、高度成長研究会を軸にした研究活動、および、成果の還元を目的としたアメリカの研究者との国際シンポジウム、国際ワークショップをより緻密に推進する。春の「トランスパシフィック ワークショップ」(UCLA)、秋の国際シンポジウムの充実を図り、その準備のためのあらたな研究会も計画している。研究代表者・研究分担者が核となり、主要メンバーが継続的に参加するとともに、テーマに応じて、あらたなメンバーの参加を求め、より充実した議論がなされるよう努力する。また、これまでネットワークを形成してきたアメリカにとどまらず、積極的に東アジアの研究者とも交流を深めていきたい。今年度は、9月に韓国での集会を計画している。 他方、研究分担者が主宰する研究集会への相互参加も図りたい。そうした試みの一端として、合同の研究合宿のような形式を考え、実践する手筈となっている。加えて、研究代表者、および研究分担者がそれぞれの領域において、論文の執筆、さらには出版事業にかかわっている。そこでの活動を、本科研に還流することを図りたい。合評会はそのひとつの実践であり、互いに多くの刺激を得るとともに、成果が直接に共有される。すでに合評会は多く行ってきているが、今後も積極的に推進していきたい。 あわせて研究代表者および研究分担者が、成果を公表することも推進する。本科研もかなりの研究蓄積ができてきたので、成果公表にも積極的に取り組んでいきたい。資料収集も着実に進んでいるが、高度成長期の文化については、まだまだ手つかずの領域もある。とくに大衆映画と大衆小説の領域は、DVDの収集を含め、いっそうの充実を期したい。
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Research Products
(83 results)
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[Presentation] 中野重治の文学2016
Author(s)
竹内栄美子
Organizer
アジア太平洋資料センター 戦後史自主講座
Place of Presentation
PARC自由学校(東京都淡路町)
Year and Date
2016-07-29
Invited
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