2018 Fiscal Year Annual Research Report
Boundary Demarcation and Local Politics in Modern and Contemporary Alpine-Adriatic Borderlands
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15H03255
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Research Institution | Tokyo University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
小田原 琳 東京外国語大学, 大学院総合国際学研究院, 准教授 (70466910)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 珠美 東京外国語大学, 大学院総合国際学研究院, 研究員 (20641236)
藤井 欣子 東京外国語大学, 大学院総合国際学研究院, 研究員 (30643168)
秦泉寺 友紀 和洋女子大学, 人文学部, 准教授 (60512192)
古川 高子 東京外国語大学, 世界言語社会教育センター, 助教 (90463926)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 境界 / 国民 / 戦争 / 国境 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、19世紀半ばから20世紀前半において、ヨーロッパでもっとも頻繁に、軍事力をともなう稀な強度で国境編成と再編、国民化の運動を経験したアルペン-アドリア地域において、近代化・資本主義化の経験や、戦争・外交による国境の再編成に際する住民の生活実態の変化を、それに対する住民の主体的戦略に注目し、「ネイション(国民)帰属に対する無関心」テーゼ(P.ジャドソン、T.ザーラ)を参照しながら分析を行った。ディシプリンとしての歴史学が自明の前提とする集合的かつ静態的なネイション(国民)記述を再検討する可能性をもつ同テーゼでは、ボーダーランドの住民たちは、ネイション(国民)化政策として提示された福利をみずからの利益を最大化するために利用したのであって、ネイション(国民)への文化的・心理的同一化を基準としたのではないとされる。本研究を通じて、19世紀末から20世紀前半にかけての当該地域において、同テーゼが一定程度打倒していたことが明らかになった。本研究の成果としては、第一に、国内では研究蓄積が厚いとはいえない同地域について、知見を蓄積できたことがある。また、ローカルなレベルで住民の戦略的実践に着目すると、住民の選択に対して、武力紛争や人種主義、ジェンダー、階級といった要素が交差するとき、特定の国民への帰属が倫理的な力として作用し、行為主体の選択の幅を著しく狭める様相を見いだすことができた。このことは、「ネイション(国民)帰属に対する無関心」が十分に説明できない歴史的局面であり、それが明らかになったことは、本研究の第二の成果といえる。
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Research Progress Status |
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(22 results)