2016 Fiscal Year Annual Research Report
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15H03264
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
小澤 毅 三重大学, 人文学部, 教授 (00214130)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 考古学 / 歴史考古学 / 測量 / 尺度 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、8世紀の方位測定法と精度的限界などを具体的に検証するとともに、その前段階についても検討をおこない、長らく論争が続いている7世紀以前の使用尺度を含めて、不明な部分が多い日本古代の測量技術と尺度の実態を解明することを目的としている。これには、実物のデータや文献史料の分析に加えて、各種の考古学・歴史地理学的成果の検討と実験が必要となるが、そうした作業をつうじて、中国や朝鮮半島との交流を含めた東アジアの科学技術史の中に、日本古代の測量技術を位置づけることをめざす。 5ヵ年計画の研究の2年目にあたる本年度は、ひきつづき中国古代の技術書など、測量技術に関する基本的情報を収集・整理するとともに、太陽による方位測定法の精度を確認する実験を継続した。その結果、昨年度は天候不良のため観測不能であった冬季についても、太陽を用いた真東西測定に関する良好な観測データを得ることができた。日本古代の方位測定法を具体的に復元し、測定の精度や季節による差違を検証するための重要な材料の一つとなる。 また、藤原京や平城京を対象として、条坊遺構の平面直角座標系データの集成と分析を実施し、条坊ごとの最小二乗直線や全体の最小二乗方格の最新成果を算出する作業を継続した。奈良盆地全体に施工された統一的条里(大和統一条里)については、先行研究をふまえて、条里の方格の規模や方位に関するデータを収集し、条里の基準となった下ツ道と横大路以外の直線的古道のデータを整理した。いずれも、データの統計的分析をつうじたほかの道路や他地域との比較において不可欠の成果といえる。 このほか、尺の実物データをはじめとする尺度関係の資料や、測量によって定めたことが確実な各種の発掘遺構・現存建築についても、国内および中国・朝鮮半島を含めたデータの収集を継続しておこなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の研究計画をほぼ当初の予定どおり進めることができた。 古代の方位測定法を復元することを目的とした太陽観測による真東西測定実験は着実に成果を上げており、次年度以降は周極星観測による真北の測定実験に重点を移す予定である。なお、当初、韓国で予定していた実地調査は、中国で高句麗遺跡の調査をおこなったこと、別の科研費(基盤研究(A)「古代『仏都圏』の社会と文化に関する地域史的・比較史的研究」16H01945、研究代表者:吉川真司)における研究分担者として、新羅・百済関係遺跡の調査を実施したことから、次年度以降に延期した。研究の進捗にはまったく支障をきたしていない。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度に計画した研究のうち、観測実験や実地調査など、完了していない部分については次年度以降も作業を継続し、それ以外は当初の計画に沿って着実に研究を進める予定である。
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Research Products
(5 results)