2015 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト‐資源環境系から見る更新世/完新世初頭の石材獲得活動の国際比較
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15H03268
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
小野 昭 明治大学, 研究・知財戦略機構, 特任教授 (70000502)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 由克 明治大学, 研究・知財戦略機構, 客員教授 (10737745)
橋詰 潤 明治大学, 研究・知財戦略機構, 特任講師 (60593952)
島田 和高 明治大学, 学術・社会連携部博物館事務室, 専任職員 (70398907)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 広原遺跡群 / 北チロル / プレボレアル期 / 中石器時代 / 石材獲得 / 森林限界 / 高山景観 / 国際比較 |
Outline of Annual Research Achievements |
長野県小県郡川町所在の広原遺跡島群(陸域)と広原湿原(湿地)の情報の統合化を行い調査報告書の刊行をおこなった(小野昭・島田和高・橋詰潤・吉田明弘・公文富士夫編2016『長野県中部高地における先史時代人類誌-広原遺跡群第1次~第3次調査報告書』明治大学黒耀石研究センター資料・報告集1)。
国際比較のために精度の高い調査事例であるウラーフェルゼン遺跡を巡検の中心に据え、2015年8月19日~25日までオーストリアの北チロルの中石器時代遺跡の巡検と高山景観の景観の調査を、研究代表者、分担者2名、国内研究協力者の合計4名で実施した。実施にあたっては、海外研究協力者のD.シェーファー教授(インスブルック大学)の案内で遺跡立地の特徴と石材の遠隔地交流の実態を議論することができ、充実した巡検調査を遂行できた。
巡検調査の成果を論文化する作業は2016年度(平成28年度)に本格的に取り組むが、その前に論点を整理し研究分担者と議論した結果を調査報告としてまとめ投稿し、平成27年度のフィールド調査の成果を確認した(小野昭・島田和高・橋詰潤・吉田明弘2016「オーストリア・北チロル地方の中石器時代遺跡群と高山景観の巡検調査」『資源環境と人類』No.6,明治大学黒耀石研究センター)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成27年度に計画していた実行計画、1)広原遺跡群の調査報告書の刊行)、2)オーストリアのウラーフェルゼン遺跡を中心とする巡検調査、は予定通り実施し、重要な成果を得た。国際比較の際の手続き(方法)、彼の地の遺跡群の立地と当時の狩猟対象動物の生息条件の関係が予想していたよりも複雑であるため、いくつか論点を整理し巡検調査としての報告を紀要に投稿した。従って内容は報告であり、本格的な論文化は平成28年度に行うこととした。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度は、オーストリア・北チロルの巡検調査の成果を論文化することが第1の課題である。第2は比較の対象である長野県小県郡長和町の広原遺跡群の石器石材獲得活動の様相を具体的に調査することである。
すでに広原遺跡については発掘調査報告書を刊行し、基本的な議論は行ったので、石材獲得に焦点を合わせて再度議論を研究分担者とおこなう。その際、現在進行中の黒曜石の産地分析(主にエネルギー分散型の蛍光X線分析装置で分析)を継続し、広原第2遺跡出土の黒曜石の全点分析を実現し、石材獲得の様相解明の量的基礎を堅固にする予定である。
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Research Products
(11 results)