2016 Fiscal Year Annual Research Report
Comparative perspectives on lithic acquisition during Pleistocene/early Holocene:a view from the natural resource environment and humans
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15H03268
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
小野 昭 明治大学, 研究・知財戦略機構, 研究推進員 (70000502)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 由克 明治大学, 研究・知財戦略機構, 客員教授 (10737745)
橋詰 潤 明治大学, 研究・知財戦略機構, 特任講師 (60593952)
島田 和高 明治大学, 学術・社会連携部博物館事務室, 専任職員 (70398907)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 広原遺跡群 / 北チロル / ウラーフェルゼン遺跡 / 中石器時代 / プレボレアル期 / 石材獲得 / 黒曜石 / 森林限界 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究代表者小野は、国際比較の上で鍵になる遺跡は北チロルのウラーフェルゼン遺跡で分布論的に重要で鍵になる南ドイツのボイロン文化A, B, Cの定義に関し、W. Tauteがテュービンゲン大にに提出し未刊行の状態が長く続いている教授資格試験論文(モノグラフ)のコピーを入手し、Beuronien A, B, Cの定義を含め層序と型式学的特徴の継続関係を精査した。 研究分担者橋詰は、中部高地黒曜石原産地内における後期旧石器時代後半後葉~縄文早期の黒曜石をめぐる人類行動の具体例検討のため,長野県長和町広原遺跡群第I遺跡出土黒曜石製石器の考古学的検討を行った。 研究分担者島田は、長野県広原遺跡群第II遺跡出土のMIS3相当期の黒曜石石器群のエネルギー分散型蛍光X線分析による産地推定を実施した。また,長野県中部高地黒曜石原産地における原産地と先史遺跡の分布パターンとの比較のため,佐賀県腰岳黒曜石原産地の踏査を実施した。 研究分担者中村は、西南日本の主要な地方石材の1つ流紋岩石材の実態を解明するため、広島県の西条盆地と三次盆地における高田流紋岩類起源と考えられる旧石器時代の石器石材を鑑定した。従来流紋岩とされていたものはほぼすべて溶結凝灰岩であることを明らかにした。類似の石材は中部地方から九州、さらに朝鮮半島でも報告があるので、流紋岩、凝灰岩とされる石材の見直しが必要であることが判明した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成28年度に計画していた計画のうち以下をほぼ遂行できたと判断できることによる。 長野県長和町広原遺跡群第I遺跡出土黒曜石製石器の考古学的検討を行い、また。長野県広原遺跡群第II遺跡出土のMIS3相当期の黒曜石石器群のエネルギー分散型蛍光X線分析による産地推定を実施した(研究分担者:橋詰、島田)。国際比較の上で鍵になる遺跡は北チロルのウラーフェルゼン遺跡である。この場を利用した集団は石器の形態・型式学的な検討から現在の北イタリアと南ドイツの早期中石器時代の文化要素が強く認められている。その中でも分布論的に重要で鍵になる南ドイツのボイロン文化A, B, Cは、ドナウ川上流にあるイエーガーハウス洞窟の出土の石器の型式形態学的分析と層位的出土例の組み合わせによって細分され、これが基準となっている。しかし、発掘報告書が未完のまま調査者のProf. W. Tauteが死去したため報告書は未完のままで、おもにTauteの書いた調査概報と総論的論文に依拠して議論が進められてきた。本年度はこれを子細に検討するために、W. Tauteがテュービンゲン大にに提出し未刊行の状態が長く続いている教授資格試験論文(モノグラフ)のコピーを入手し、Beuronien A, B, Cの定義を含め層序と型式学的特徴の継続関係を精査した(研究代表者:小野)。西南日本の主要な地方石材の1つ流紋岩石材の実態を解明するため、広島県の西条盆地と三次盆地における高田流紋岩類起源と考えられる旧石器時代の石器石材を鑑定し、流紋岩とされていたものはほぼすべて溶結凝灰岩であることを明らかにした。類似の石材は中部地方から九州、さらに朝鮮半島でも報告があるので、流紋岩、凝灰岩とされる石材の見直しが必要であることが判明した(研究分担者:中村)。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度は、以下の方針で臨む。 オーストリア、北チロルのウラーフェルゼンは山岳地にあり、早期中石器時代の標識遺跡のイエーガーハウス洞窟遺跡は中級の丘陵地にあり、両方の遺跡立地景観は既に観察し巡検を行った。平成29年度は採取氷期の氷河が後退した後にできたフェーダーゼー(湖)に立地する早期中石器時代の立地景観の巡検調査を夏に行いこれで高地、中級地、低地の遺跡立地景観の調査を終える予定である(研究代表者:小野)。 日本列島中部山岳地帯の広原遺跡群の黒曜石石器群の石材獲得活動の様相を、産地分析結果の解析を踏まえて復元する(研究分担者:橋詰、島田)。 日本列島の黒曜石以外の石材の獲得活動の様相の内西日本の流紋岩と判定されていた資料の再鑑定を含め調査を実施する(研究分担者:中村)。 平成29年度は最終年度であるので、成果を取りまとめるとともに相互の関係について国際比較の観点から問題の整理をおこなう。
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Research Products
(14 results)