2016 Fiscal Year Annual Research Report
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15H03271
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
矢野 健一 立命館大学, 文学部, 教授 (10351313)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
島田 伸敬 立命館大学, 情報理工学部, 教授 (10294034)
川村 貞夫 立命館大学, 理工学部, 教授 (20186141)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 水中考古学 / ロボット / 琵琶湖 / 湖底遺跡 / マルチビーム |
Outline of Annual Research Achievements |
2016年6月1日(水)滋賀県長浜市湖北町の尾上漁港からレークダイビングの10人乗りの船で葛籠尾崎湖底遺跡の南端より西の水域で「海観」(川村貞夫開発ロボット)と市販のSeabotixを利用した湖底遺跡調査を実施した。参加者は矢野健一他文学部学生2名、川村貞夫他理工学部学生4名、情報理工学部学生1名。ロボットを投入したが、強風のため、午前中で中止。葛籠尾崎湖底遺跡資料館を見学。9月22日(木)に、同じく、尾上漁港からレークダイビングの10人乗りの船で葛籠尾崎湖底遺跡の南端付近の水域で「海観」(川村貞夫開発ロボット)と市販のSeabotixを利用した湖底遺跡調査を計画したが、天候不順のため、当日朝中止決定。参加予定者は矢野健一他文学部学生2名、川村貞夫他理工学部学生2名、坂上憲光(東海大学)。10月25日(火)に、同じく、尾上漁港からレークダイビングの10人乗りの船で葛籠尾崎湖底遺跡の南端付近の水域で「海観」(川村貞夫開発ロボット)と市販のSeabotixを利用した湖底遺跡調査を実施したが、風雨強くなったため、午前中で中止決定。参加者は9月22日と同様。2017年2月17日(金)~19日(日)に尾上漁港からレークダイビングの10人乗りの船で、ウインディネットワークに依頼して葛籠尾崎湖底遺跡のマルチビーム地形測量を実施。17日(金)に葛籠尾崎南端付近の水域を一部測量、18日に続行するが、船のエンジントラブルで中止。調査指導の佐々木蘭貞氏(九州国立博物館)と今後の調査計画について相談。この調査の続きは、2017年度に調整金を利用して実施。2015年度までの研究成果に関しては、日本考古学協会第82回(2016年度)総会(2016年5月29日、東京・小金井市・東京学芸大学)および世界考古学会議第8回京都大会(2016年8月29日、京都市・同志社大学)で発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2015年度に実施できなかったマルチビーム地形測量による湖底地形測量の実施を実施できた。2017年度4月にこれまで土器が発見された葛籠尾崎湖底遺跡のほぼ全域にかけて、マルチビーム地形測量を調査を実施できるので、湖底地形測量については、おおむね実施の遅れを挽回できる見通しである。2016年度は水中ロボット投入による湖底遺跡での新たな土器画像が得られなかったが、これまでに取得した土器画像および湖底地形画像をマルチビーム測量によって得られた湖底地形図にはりつけて、土器の発見地点の湖底地形の特徴を把握できる見込みである。 これとは別に、本研究に参加している近藤芽衣が琵琶湖底遺跡出土の湖成鉄出土土器に関して葛籠尾崎湖底遺跡以外の14遺跡で調査を実施し、地形との関連が推測できる結果を得ている。葛籠尾崎湖底遺跡での湖成鉄出土土器の調査を合わせて実施することで、湖成鉄付着の要因を地形に求めることが可能であるという見通しを得ている。 以上のように、2016年度中に、湖底地形測量、湖成鉄調査の2点については研究の進展があった。計画通りに進んでいないのが、新たな土器画像取得である。これについては、調査日の天候に大きく左右されるため、調査日を増やす以外にない。現状では、調査日の増加は難しいが、2,3日合宿の日程を組むなどして、効率をあげるよう、努力する必要がある。なお、水深の浅い箇所の調査や人間の潜水による調査も組み合わせることも考えていく必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
前項で述べたように、2017年度4月にこれまで土器が発見された葛籠尾崎湖底遺跡のほぼ全域にかけて、マルチビーム地形測量調査を実施する。これは2016年度の調査が船のエンジントラブルという予期せぬ事態で中断されたため、研究費未執行分を2017年度の調整金として交付を申請して実施する。これにより、湖底地形測量については、おおむね実施の遅れを挽回できる。この測量調査は矢野健一が担当する。 2016年度までに取得した土器画像および湖底地形画像をマルチビーム測量によって得られた湖底地形図にはりつけて、土器の発見地点の湖底地形の特徴を把握する。この画像処理の作業は、島田伸敬が担当する。 矢野は近藤芽衣と共同で、琵琶湖底遺跡出土の湖成鉄出土土器の実見調査を続行し、葛籠尾崎湖底遺跡での湖成鉄出土土器の成分調査などを合わせて実施したい。これにより、湖成鉄付着の要因を推定したい。 新たな土器画像取得については、2,3日合宿の日程を組むなどして、実施する。水深の浅い箇所の調査や人間の潜水による調査に組み入れたい。 以上の研究成果については、今年度概要をまとめるとともに、講演会などを企画し、一般に広く知らせたい。
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Research Products
(7 results)