2016 Fiscal Year Annual Research Report
「地域」映像の集合化による再帰的ソーシャル・デザインの研究
Project/Area Number |
15H03281
|
Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
原田 健一 新潟大学, 人文社会・教育科学系, 教授 (70449255)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 守弘 京都精華大学, デザイン学部, 教授 (10388176)
北村 順生 立命館大学, 映像学部, 准教授 (20334641)
水島 久光 東海大学, 文学部, 教授 (30366075)
石田 美紀 新潟大学, 人文社会・教育科学系, 准教授 (70425007)
榎本 千賀子 新潟大学, 現代社会文化研究科, 研究員 (80710384)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | デジタル映像アーカイブ / 地域メディア / 中間的コミュニケーション / MALUI連携 / コミュニティ / ソーシャル・デザイン / 地域映像アーカイブ / データベース |
Outline of Annual Research Achievements |
メディアのもつ広範囲にさまざまなものを媒介しつながり普及するグローバルな性質と、一方で、各地域で日常生活の中へとメディアが浸透し普及していくローカルな性質、この二つの相反したメディアのあり方をどう研究的に捉えることができるか。 今年度は、地域の映像を社会化し、共同で閲覧、利用できるシステム、博物館、資料館、図書館、大学、産業界などでデータベースが閲覧利用できるよう提携するMALUI連携による統合型データベースを構築した。それによって、具体的なローカルな日常生活における映像、特にマスとパーソナルをつなげる、社会の中間的なコミュニケーションを支えるさまざまな「地域」コミュニティの映像を発掘し、研究をすることを通して、日常生活における映像が媒介する私たちの社会的行為の役割や意味、それを支えている社会的文脈、その関係性、さらには社会的な記憶のあり方を、明らかにすることに重点をおいた。 その一方で、こうした、映像データをもとにした内容の研究を促進するだけでなく、地域のメディア各社、図書館、博物館、美術館、さらには小中高校など関連機関と社会連携を深め、映像を公開・利用してゆくためのルールはどうあるのか、地域の人びとや映像メディアに関わる人びとと共に新たな文化、社会をデザインしていくということはどういうことかを社会実験的に調査・研究を行った。 さらには、こうした観点を深めるために各地域の事例を比較参照しながら調査すべく、公開研究会を開催し研究分担者のみならず、多くの関係する研究者に参加してもらい議論をし、検討した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
2017年3月に地域社会の情報コンテンツを文化資源として共有化するために、博物館、資料館、図書館、大学、産業界とが提携するMALUI連携の一環として、新潟県立図書館と連携し、データベースの統合を行うための統合型データベースのサイト「にいがた MALUI連携地域データベース」を立ち上げ、さらにそうした統合型データベースとして、「にいがた 地域映像アーカイブ データベース」のシステムのヴァージョン・アップを行い、データそのものも大幅に拡張し、写真約3万3000点、動画約400本、絵葉書約3800点、音源700点などの閲覧できるようになった。このサイトは、地域の関連機関(上越教育大、敬和学園大学など)との連携による閲覧・公開となっており、地域関連機関との連携がどうあるべきかを含めた問題提起的な実証実験となっている。また、新潟市中央区地域課との連携のもとその映像データの一部を使い小冊子『新潟古町花街の「今」』を制作し、新潟市内を中心に8000部配布した。 現地調査としては、榎本が2016年5月より地域(福島県金山町)のフィールドワークに入り、現地での映像資料の発掘、さらにはそのためのワークショップなども行うなど、他の研究分担者と共に現地での調査を継続的に行っている。その成果の一部は、2017年2月に写真展「増山たづ子と東北の記録者たち」において公開された。また、集合された地域の映像・情報をどう教育へと利活用できるか、小中学校、関連機関の担当者向けのワークショップを北村を中心に企画し、2016年11月17日新潟県立生涯学習推進センターの協力のもと行った。 さらに各地におけるデジタル映像アーカイブのあり方を検討し研究すべく、7月に大阪で研究会、9月には京都・おもちゃ映画ミュージアムでの公開研究会、3月には神戸映画資料館でのシンポジウムを開催した。
|
Strategy for Future Research Activity |
2017年度は最終年度であることを鑑み、本科研の研究分担者を中心に研究会やシンポジウムに参加した研究者に、実施された地域各機関と連携した事業を含め、議論された問題について報告書への執筆を依頼した。理論のみならず実践的なデジタル映像アーカイブ研究のあり方について明らかにする。以下、予定内容である。 Ⅰソーシャル・デザインとしてのデジタルアーカイブ 水島久光「全体の概論」。Ⅱ手と足を使ったアーカイブ研究 水島久光「夕張炭坑アーカイブ」、佐藤守弘「子ども風土記をめぐる画像のアーカイブ」、板倉史明「フィルム・アーカイブズとしての神戸映画資料館の資料をめぐって」、石田美紀&キム・ジュニアン「コンテからのアニメ・アーカイブ」、石田佐恵子「萬年社の広告映像のデータベースについて」、榎本千賀子「金山町の角田映像とそのフィールドワーク」、北村順生「地域映像アーカイブを使ったワークショップ」。Ⅲアーカイブで手と足を使うための準備 松谷容作(同志社女子大)・郷田真理子(IMAGICAウェスト)「映像のアーキビストになるための階梯-カリキュラムの提案」。Ⅳ複数の手と足による方法-共同作業による映像分析-事例としての荻野茂二フィルム 水島久光、原田健一、北村順生、榎本千賀子、椋本輔、小河原あや。Ⅴコミュニケーション・デザインとしてのデジタルアーカイブ 原田健一「映像アーカイブと県立図書館の新聞との統合データベースについて」、前川道博(長野大学)「図書館と映像アーカイブ」、浅岡隆裕「コミュニケーションのなかのアーカイブ」。 また、その成果をふまえ、2017年11月には砂丘館(新潟市)と連携し新たに発掘した映像の展示を行う。また、研究をさらに展開をするために、2018年3月に神戸映画資料館でシンポジウムを開催する予定である。
|
Remarks |
「にいがた 地域映像アーカイブ・データベース」(IDとパスワードが必要) 「新潟県立図書館 郷土新聞データベース」は一部のみ。全面公開は、新潟県立図書館と新潟大学附属図書館他のみ。
|
Research Products
(10 results)