2016 Fiscal Year Annual Research Report
立法理学と世界正義論の統合によるグローバル立法理学の基盤構築
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15H03288
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
井上 達夫 東京大学, 大学院法学政治学研究科(法学部), 教授 (30114383)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 基礎法学 / 法哲学 / 立法学 / 国際法 / 安全保障 / 世界正義 / 人権 / 移民 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、研究代表者・井上達夫の指揮・統括のもとで、特に、各作業班の前年度の研究成果の共有と、基本課題①「国内立法と国際法形成の分業原理の再編」の研究とを、行った。 第一に、地球環境問題作業班の前年度作業分が未達であったため、これを完遂するために岡山県直島視察(2016.9.12-13)を行った。加えて、地球環境問題作業班の構成員が、気候正義を題材に研究報告をした(2017.2.4)。 第二に、各作業班(人権保障のグローバル化、世界経済正義、地球環境問題、安全保障問題のそれぞれに特化した四つの作業班)の前年度の研究成果を本科研構成員全体で共有した。本科研の全体研究会において報告されたのは、ケアと分配的正義に関する問題(2016.9.12)、性的少数者の権利と婚姻の問題(2016.5.28など)などであったが、図書や雑誌論文によって各作業班の成果を共有した例もある。全体討議の中で指摘された問題については、各作業班が補正作業を行った。 第三に、基本課題①「国内立法と国際法形成の分業原理の再編」について研究した。ケンブリッジ大学での在外研究を終了させた郭舜は、この基本課題に直接的に関わる研究報告を本科研にて行い、本科研構成員全体でこれについて討議した(2016.12.10)。この他に、全体研究会では、難民(2016.12.10)、移民(2017.3.18)、環境保護と持続可能な林業(2017.2.4)というトピックを通して、基本課題①を探求した。 第四に、特に安全保障問題について社会的発信を行うため、メディア関係者を参加者とする「立憲主義シンポジウム」を開催した(2016.8.27)。また井上は、岡山大学にて安全保障に関する講演を行った(2016.9.11)。他にも井上は、特に安全保障問題について市民に自身の哲学的立場を示すべく著書を公刊した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度に予定されていた作業はほぼすべて終了した。 ただし、2017年1月から3月に基本課題②「国内立法と国際法形成の民主的答責性保障」に関する予備的討議を定例研究会にて行う予定であったにもかかわらず、その作業は本年度中に完遂することができなかった。しかし、未達部分は来年度早期の定例研究会にて達成する目途が立っている。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度は、前年度の未達部分を完了させるとともに、基本課題②「国内立法と国際法形成の民主的答責性保障」を研究する。その際に、以下の通り三つの階梯を踏んで研究を進める。 Step 1:2017度4月-9月には、これまでの研究成果を踏まえたうえで、基本課題②について定例研究会等で討議をし、この課題の解決のための指針の提示を試みる。5月中旬、6月頃下旬頃に既に定例研究会を予定している。また、2017年度IVR世界大会(開催地は当初イスタンブールが予定されていたが、リスボンに変更された)にて、研究代表者井上とその他4名の連携研究者が、本研究全体に関する試論的論文を発表する。 Step 2:2017年9月-12月には、IVRリスボン世界大会での研究発表とそこでの討議を、本科研メンバー全体とフィードバックする。そのうえで、基本課題①と②への応答を整合化し理論的に統合するための総括を試みる。 Step 3:2018年1月-3月には、2つの基本課題と、4つの基礎作業課題(人権保障のグローバル化、世界経済正義、地球環境問題、安全保障問題)についての共同研究成果を社会的に発信するために、共著刊行の可能性を含めて、討議する。
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Research Products
(29 results)
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[Book] 問いかける法哲学2016
Author(s)
瀧川裕英、米村幸太郎、鈴木慎太郎、若松良樹、登尾章、野崎亜紀子、松尾陽、土井崇弘、森村進、吉良貴之、関良徳、石山文彦、横濱竜也、住吉雅美、郭舜
Total Pages
286 (168-185, 202-234, 255-272)
Publisher
法律文化社
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