2017 Fiscal Year Annual Research Report
Comprehensive reserch on the regime of the UNCLOS
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15H03294
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
薬師寺 公夫 立命館大学, 法務研究科, 教授 (50144613)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
富岡 仁 名古屋経済大学, 人間生活科学部管理栄養学科, 教授 (00126880)
植木 俊哉 東北大学, 法学研究科, 教授 (00160151)
深町 公信 熊本大学, 大学院人文社会科学研究部(法), 教授 (00199168)
佐古田 彰 西南学院大学, 法学部, 教授 (00281874)
竹内 真理 神戸大学, 法学研究科, 教授 (00346404)
佐俣 紀仁 東北医科薬科大学, 教養教育センター, 講師 (10612533)
坂元 茂樹 同志社大学, 法学部, 教授 (20117576)
吉井 淳 明治学院大学, 国際学部, 教授 (30125687)
加々美 康彦 中部大学, 国際関係学部, 准教授 (30449889)
古賀 衛 西南学院大学, 法学部, 教授 (40128640)
西本 健太郎 東北大学, 法学研究科, 准教授 (50600227)
加藤 信行 北海学園大学, 法学部, 教授 (60169513)
高村 ゆかり 名古屋大学, 環境学研究科, 教授 (70303518)
下山 憲二 海上保安大学校(国際海洋政策研究センター), 国際海洋政策研究センター, 准教授 (70508720)
酒井 啓亘 京都大学, 法学研究科, 教授 (80252807)
浅田 正彦 京都大学, 法学研究科, 教授 (90192939)
河野 真理子 早稲田大学, 法学学術院, 教授 (90234096)
鶴田 順 明治学院大学, 法学部, 准教授 (90524281)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 国連海洋法条約 / BBNJ / 国際海洋法裁判所 / 海洋管轄権 |
Outline of Annual Research Achievements |
2017年度当初に同年度の目標として、国家管轄権区域を越える海洋生物多様性の保全と持続可能な利用をめざすBBNJを重点課題として、BBNJ研究会とも連絡を取りながら条約交渉の進展状況について検討すること、海洋裁判事例について理論的分析を深めること、これらをまとめる形で2回ほど全体的な海洋法研究会を開催すること、中国の海洋法研究機関との海洋法ワークショップを開催することを重点課題として設定した。 すべての計画を完遂することはできなかったが、概ね順調に研究を進めることができた。年2回の全体研究会合の開催については、科研チームの研究発表会と全体会議を2017年9月西南学院大学で、また重点に置いたBBNJの研究成果を研究所として刊行する計画をたてる全体会合を2018年3月に上智大学で、開催し、計画を確定した。昨年度再開できた日中海洋法シンポジウムは今年度も計画通り、2018年1月15日に、日本海洋法研究会と中国海洋問題研究所(CIMA)との共催による第7回日中海洋法ワークショップとして開催することができた。今年度のワークショップの中心にBBNJ問題を取り上げた。またBBNJ問題については、BBNJ研究会の3回の研究会とともに笹川平和財団海洋政策研究所のBBNJシンポジウムが開かれ、本科研研究グループからも積極的に参加した。 後にふれるように、来年度が本基盤研究最後の年になる。これまでの研究成果は各年度に代表者、分担者が関連領域の論文・著書を発表してきているところであるが、来年度はBBNJという国連海洋法条約成立後現在最も国際社会の関心を集めている問題について本研究チームとBBNJ研究会のチームが協力して研究書を出版すべく課題と分担を決め、来年度執筆を完了することを目指している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上記の通り2017年度当初に立てた基本的な研究計画は、全部はやりきれなかったが、日中第7回海洋法ワークショップの開催をはじめ、2回の全体研究会などの全体企画については代表者と部門責任者を中心に企画して、これらを実行し、各領域を分担した分担者の努力でそれぞれの領域で個人研究が著書や論文として発表されている。 とりわけ、2017年度BBNJ研究会と協力して進めてきたBBNJ研究の面では、日中海洋法ワークショップでも中心問題としてとりあげ、日本から4本の報告(BBNJ保護のための海洋法の新動向、BBNJプロセスにおける能力構築と海洋技術移転、現代海洋法における人類の共同財産概念、BBNJを規律する国際法の断片化)、中国から3本(BBNJに関する国際的拘束力ある文書の展開に見られる海洋保護区、ISAと現代海底鉱物資源制度とBBNJ、海洋法における人類の共同財産とそれを超えて)の報告があった。 これらの研究成果を踏まえて、2018年3月末に基盤研究のメンバーの会合をもち、2017年度をまでのBBNJ研究の成果をまとめるために、本科研チームとBBNJ研究会の研究チームの協力で日本海洋法研究会の研究双書第4巻として『国家管轄圏外区域に関する海洋法の新展開』として出版する計画を策定した。同書では、これまでの成果を、海洋法のおける生物多様性の保全と持続可能は利用、国家管轄圏外区域を規律する諸原則、国連海洋法条約後の環境法の発展とBBNJ、総会決議69/292に至る議論の経緯などの総論とともに、海洋遺伝資源の法的位置づけ、アクセス、利益配分、知的財産権と海洋法条約、海洋保護区、隣接性の概念の法的評価、環境影響評価、能力構築と海洋技術移転といった各論について、各分担者が2018年度末までにこれまでの研究成果をまとめあげることで決めて、その作業に入った。
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Strategy for Future Research Activity |
2018年度は基盤研究最後の年なので、上記の決定に従い、まず第1に、出版を企画した『国家管轄圏外区域に関する海洋法の新展開』を最大の重点目標として、年度内に分担者全員が原稿を提出しきるように研究会で中間発表等を繰り返しながら、着実に刊行準備を進める。第2に、BBNJ以外の領域で研究を進めてきた各分担者においても既に多くの分担者がその成果を個別論文や著書形で成果を発表してきたが、まだ成果をまとめる作業が残っている分野については、論文を完成させることを要請する。第3にこの基盤研究を通じて、長らく中断していた定期的な日中海洋法シンポジウムが再開できたことは日中海洋法研究者の相互の情報交換と共同研究の場が再構築できたことは本研究の極めて重要な成果であったが、第8回日中海洋法ワークショップを2019年5月に今度は中国で開催することで基本合意がなされている。そこでこのワークショップの準備として、海洋航行や島嶼問題、排他的経済水域の管理と海洋環境保護問題等焦点を合わせるテーマを絞っていく作業とその準備を進めていく。ある程度ワークショップが安定化した段階で共同研究の成果を公刊することも示談会の課題である。 これらの諸課題を推進するために、2018年度も全体研究会を年2回ほど、さらにBBNJ研究チームの研究会への参加、出版物編集作業等を通じて着実に上記課題を実現していくとともに、本基盤研究の成果を基に、さらに研究体制を再編強化することで、日中だけでなく他のアジア諸国との海洋法研究ワークショップを開催していけるような新たな研究目標をたてることを期している。
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Research Products
(25 results)