2017 Fiscal Year Annual Research Report
The Roles of Judiciary in the Process of Democratization: Comparative Analysis on the Middle East and Islamic Countries
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15H03318
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Research Institution | Institute of Developing Economies, Japan External Trade Organization |
Principal Investigator |
石黒 大岳 独立行政法人日本貿易振興機構アジア経済研究所, 地域研究センター中東研究グループ, 研究員 (30611636)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井上 あえか 就実大学, 人文科学部, 教授 (30388988)
岩坂 将充 同志社大学, 高等研究教育機構, 准教授 (80725341)
立花 優 北海道大学, 文学研究科, 共同研究員 (20733330)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 政治学 / 民主化 / 政治の司法化 / 憲法裁判所 / 中東政治 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、研究動向の進展を踏まえた先行研究の見直しとともに、これまでの研究会での議論と各国事例分析の進捗を踏まえて、最終成果の総論部分となる研究の位置づけと新たな分析枠組みの構築について、在外研究協力者も交えて検討を進めた。中東イスラーム諸国における政治の司法化という本研究独自の枠組みにおいて当初考えられたイスラーム法あるいはその価値体系が司法判断における判事の選好に影響を与えうるかという点についは、各国の現地調査による成果や海外協力者との検討において否定されものの、判事のキャリアパターンにおける待遇や名声をある種の集団的利益として追及している姿勢は共通しており、その背後にある制度の設計や運用に注目することで、他地域事例との比較可能性は高まったと考えられる。三権による国家機関外のアクターの関与に関しては、これまで想定していた軍や王族のほか、欧州人権裁判所や関連する国際レジームのコンディショナリーと研修を通じた人事交流の影響やオンブズマンなど外部アクターの影響についても重要な変数であることが確認された。また、政治の司法化に関する議論全般において、少数者の覇権維持や脆い民主主義論といったモデルが競争的研究主義体制を分析対象に含めながら、議論の方向性はいかに民主主義をうまく機能させるかという点に向きがちである点に対して、本研究では権威主義体制の持続要因に関する研究分野との接合性がより見込まれる点も確認された。中東イスラーム諸国を対象とした当該分野において、政治の司法化の作用についての踏み込んだ分析事例は多くないため、本研究の成果には一定の意義が見出されるものと思料される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
情勢変化に伴って高まった追加的な現地調査の困難さについては、代替的な情報・資料収集方法の採用や、研究会での議論を経て事例分析の論点が集約されたこと、在外研究協力者より、全体的な研究動向を踏まえた分析枠組みの再構築についての有益な示唆を得ることができたことから、最終成果の取りまとめにむけた進捗状況は好転しつつあると判断される。
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Strategy for Future Research Activity |
研究代表者による各分析事例の位置づけと、各事例の分析内容との整合性について研究分担者・協力者と確認・検討を行い、予定している最終成果における位置づけおよび原稿執筆時の盛り込むべき内容と議論の方向性について確定させる。最終成果の発表形態としては、英文出版も視野にいれつつ、まずは和文での成果報告の初稿を上半期のうちにとりまとめる。国内および国際学会のパネルでの成果発表については、発表機会への応募に向けた研究分担者と在外研究協力者との調整・準備の都合等でかなわなかったが、代替的に在外研究協力者も含めた形での公開ワークショップを開催し、最終成果のためのフィードバックを受ける機会としたい。
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Research Products
(11 results)