2015 Fiscal Year Annual Research Report
世界戦争としての日中戦争-マルチ・アーカイブによる多角的アプローチ
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15H03322
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Research Institution | Keiai University |
Principal Investigator |
家近 亮子 敬愛大学, 国際学部, 教授 (10306392)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
河原地 英武 京都産業大学, 外国語学部, 教授 (60224870)
川島 真 東京大学, 総合文化研究科, 教授 (90301861)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 日中戦争 / 世界戦争 / 宣伝戦・情報戦 / 国際戦略 / マルチ・アーカイブ / アメリカの対日戦争観 / ソ連の対日戦争観 / イギリスの対日戦争観 |
Outline of Annual Research Achievements |
1.打合会・研究会(1)5月27日:第1回打合会(東京)、家近(代表)、河原地・川島(分担者)、岩谷(協力者)。今後の活動方針の確認(2)6月12日:第1回研究会(東京)参加者:家近、川島、岩谷、花田智之氏(講師・防衛研究所)「ロシア国内の文書館(史料館、アルヒーフ)について」(3)7月17日:第2回研究会(京都)、家近、河原地、川島、岩谷①河原地英武「寺山恭輔『スターリンと新疆』、「ソ連と日中戦争」について、②岩谷將「スタンフォード大学のアーカイブについて」(4)10月18日:第2回打合会(東京)、家近、河原地、川島、岩谷、前期活動報告、後期の活動方針、ヴェネチア大学との学術交流について 2.主な海外調査(1)オーストラリア・キャンベラの国立公文書館での史料調査(2015.12.8~12)、家近・川島・岩谷参加、A981CHIN 114 China - Relations with Japan PART9・10、ならびにA816 19/304/163 Japan & Chinaなどの外交文書等(2)タイ国立図書館での資料調査(2015.12.12~15)、家近・岩谷参加、20世紀前半タイ国で発行された華字新聞/盤谷日報や暹邏華僑日報などの対日方針等に関する記事(3)スタンフォード大学フーヴァー研究所(2015.8.2~13)、岩谷出張、Japanese Modern History Manuscript Collectionなどの史料 3.ロシア語史料の翻訳 ロシア語史料である『二十世紀の露中関係 第4巻第1分冊』の1937年分を平野達志氏に外部依頼し、研究分担者である河原地英武と翻訳作業を進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
メンバー全員で2015年12月にモスクワの「ロシア社会政治史文書館(ルガスピ)に史料調査に行く予定であったが、直前にパリ同時多発テロが起き、中止とした。これは、想定外であったが、その代わり、現地に出張中であった防衛研究所の花田氏の協力を得、史料に関する概要を知ることが出来た。また、ロシア語史料の日本語訳も平野氏の協力を得て、順調に進んでいることは、評価される点である。モスクワの代わりに次年度行く予定であったオーストラリア国立公文書館での史料調査は、大きな収穫となった。オーストラリアの対日中戦争観はこれまであまり分析されてこなかったが、アジア太平洋戦争の主要な戦場の多くがオーストラリア領であったこと、ダーウィンへの日本軍の爆撃などにより、オーストラリアの日中戦争に対する公文書は多く残されているし、研究も進んでいる。今後、オーストラリアからの視点はより重視されるべきものとの認識を得た。また、アジアのアーカイブの収集も本科研の大きな目的であるが、タイでの当時発行されていた華字新聞や中国国民党タイ支部の機関紙の調査は、中国のアジア戦略を知るのに重要であるとの認識を得た。 2016年3月に分担者の川島が参加したヴェネチア大学とのワークショップは、イタリアの対日中戦争観を知るのに有意義であった。今後、同大学とは研究協力を深めていく予定である。家近は、本国内に残されてるビラ・ポスター類の史料の調査を進めている。岩谷は、スタンフォード大学フーヴァー研究所所蔵の史料の調査を実行した。 以上、予期しないことで、計画は変更となったが、全体としては、おおむね順調に進展しているということが出来ると思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
1.ロシア語史料の翻訳作業の継続と公刊の準備 2.研究会の開催:①7月18日 北海道大学。発表:岩谷將「オランダ国防部の日中戦争・アジア太平洋戦争に関する史料について」、本研究会は、科学研究費補助金基盤研究(C)一般「留日学生、それぞれの日中戦争―マルチ・アーカイブによる留日学生の戦争行動分析」(代表:拓殖大学 浜口裕子、課題番号:16K03533)と共同開催する予定である。②11月12日 京都産業大学。平野達志氏(東京大学)「ロシア語史料の翻訳について3.国内外調査予定①家近:上海・杭州・台北・ソウルの図書館、公文書館に出張し日中戦争関連の資料を調査、および国内の戦争関連資料館の調査、②河原地:在ハバロフスク国立図書館における日中戦争期史料の保存状況調査、③川島:ジュネーヴの国際連盟関連史料の調査、④岩谷:イタリア・ドイツの公文書館へ出張し、両国の対日中戦争史観に関する史料の調査をおこなう予定 4.国際シンポジウムの開催 2015年度から継続しているヴェネティア大学との国際シンポジウムを2017年の2月から3月に東京でおこなう方向で調整していく 5.海外史料調査の継続ー家近:上海・杭州・台北・ソウル、河原地:ハバロフスク、 川島:ジュネーヴ、岩谷:イタリア・ドイツ の公文書館での史料調査を予定
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Research Products
(14 results)