2015 Fiscal Year Annual Research Report
合理的に行動する生産者と非合理的な消費者パラダイムの実証産業組織論における検証
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15H03333
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
金澤 雄一郎 筑波大学, システム情報系, 教授 (50233854)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
明城 聡 法政大学, 経済学部, 准教授 (70455426)
S.J Turnbull 筑波大学, システム情報系, 准教授 (90240621)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | NEIO / random coefficient logit / GMM estimation / manufacture Stackelberg / retailer Stackelberg / vertical Nash / generalized Nash bargain |
Outline of Annual Research Achievements |
差別化された製品の需要推定は、企業家・研究者・政策担当者が経営計画・社会的最適性の分析・政策立案を行う際に不可欠である。 代表者の研究業績Myojo, S. and Kanazawa, Y. (2012), “On Asymptotic Properties of the Parameters ofDifferentiated Product Demand and Supply Systems When Demographically-Categorized Purchasing Pattern Data are Available,” International Economic Review, Vol.53(3): pp.887-937における漸近理論では、以下の仮定を置いた。1)耐久消費財の全国市場が存在する、2)全国的な供給者が存在する、3)購買パターンと人口動態的情報を関係付けるナショナル・マイクロモーメントが存在する、4)アメリカ合衆国のConsumer Expenditure Survey のように3)のマイクロモーメントをシミュレートする全国的データベースが存在する。この場合に新製品が投入され市場シェアが細分化されることにより、消費者の多様性に関するより精確な情報が得られることを示した。 これに対し本研究では、まず多くの市場を観測することにより消費者の多様性に関するより精確な情報が得られるのではないか、という発想が根源にある。これは非耐久消費財においては、店舗スペース等の制約により同カテゴリー製品数が一販売チャンネルあたり20程度にとどまるという現実を反映した手法を提案する必要があるからである。ただし地域ごとの市場シェア、かつ購買パターンと人口動態的な情報を関係付けるナショナル・マイクロモーメントがさらに入手可能であると仮定する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成27年度(2015年度) 基盤研究(B)(一般)研究計画調書において(平成28年度以降の研究計画)の中で、生産者間の水平な戦略的関係として「1)ベルトラン競争、2)暗黙の共謀、を考える。ベルトラン競争については研究計画1)でも仮定したが、キリンビールの価格政策への他社の少々遅れた追従が日本のビール市場で過去に見られたときに、その存在が疑われた2)暗黙の共謀も重要なモデルとして考慮する必要があると考えられる。」 また生産者対販売者の垂直な戦略的関係として「両者の相対的な発言力を反映した1)manufacture Stackelberg、2)vertical Nash、3)retailer Stackerlberg の少なくとも三つを仮定する必要がある。」との記述を行った。 このうち現在まで定式化されることのなかったretailer Stackerlberg についての定式化に成功するなど、十分な成果を挙げていると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
【現在までの進捗状況】において生産者対販売者の垂直な戦略的関係として3つの極端な場合を設定したが、この両者の実際の戦略的関係は、よりニュアンスに富んでいることが考えられ、したがってこれらの中間の戦略的関係を記述するモデルが必要になってくる。その候補としてgeneralized Nash bargaining problemおよびある場合にそれと同等の解を与えるRubinstein bargaining modelを参考に、より実用的かつニュアンスに富んだバーゲニングの過程を記述するモデルを導入する方向へと、はっきりした推進方策を持っている。
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Research Products
(6 results)