2016 Fiscal Year Annual Research Report
The Long-term Trend in Income Inequality in China
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15H03340
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
佐藤 宏 一橋大学, 大学院経済学研究科, 教授 (50211280)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 経済事情 / 経済政策 / 所得分配 / 中国 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、市場経済化の初期段階(1980年代)から今日に至る中国の個人・世帯所得格差の長期変動を、全国的代表性を有する世帯調査にもとづいて、(1)都市・農村格差、(2)資産格差、(3)公共政策を通じた所得再分配などの側面から多角的に分析し、所得格差の拡大が中国の経済発展と経済システム移行に与える影響を明らかにすることにある。この目的を達成するために、平成28年度においては以下の研究活動を実施した。 第1に、都市・農村格差の長期変動と公共政策による所得再分配効果の変動という視点から、農村-都市間労働移動をはじめとする世帯の就業・所得構造の変化によって農村内の所得格差が長期的にどのように変動していったか、また2000年代初頭以降における農業保護政策、農村税制改革や社会保障政策などの新たな公共政策が農村所得格差と貧困にどの程度の影響を与えたかを地域別に推計した論文を執筆し、国際学会において報告を行った(平成28年5月に北京師範大学で開催されたCHIP調査に関する国際ワークショップおよび平成29年3月にトロントで開催されたAssociation for Asian Studies年次総会)。 第2に、内陸地域(少数民族集住地域)に焦点を当てて、都市と農村における貧困動態の比較分析、公共政策の所得再分配効果の分析などを行った論文集を海外共同研究者との共著により中国語で出版した。 第3に、農村における租税公課負担の地域的差異を、地方党・政府の所在地からの物理的距離と政治的距離(共産党組織の強さ)の両側面から政治地理学的に分析した英文論文を発表した。 第4に、研究課題に関連する全国・地域統計の収集、制度改革と政策動向のレビューを継続して行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成28年度において、(1)農村所得格差の長期変動と所得再分配政策の効果に関する論文の執筆と国際学会における報告、(2)内陸地域に焦点を当てて、都市と農村における貧困動態の比較分析、公共政策の所得再分配効果の分析などを行った中国語論文集の出版、(3)農村における租税公課負担の地域的差異を分析した英文論文の発表など、研究成果を国際的に発信した。 上記の研究成果を取りまとめる過程において、研究課題に関連する全国・地域統計の収集、制度改革と政策動向のレビューを継続して行い、また海外の共同研究者との議論を深めた。
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Strategy for Future Research Activity |
研究代表者と海外共同研究者の研究成果を引き続き国際的に発信していく。具体的には、平成29年3月のAssociation for Asian Studies年次総会における報告論文等を含む論文集を、英文および中国語で編集し、国際的に知名度の高い出版社からの出版を目指す。また引き続き研究課題に関連する統計の収集・整理や制度改革、政策動向のレビューを進める。
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Research Products
(7 results)
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[Book] 中国少数民族的差異性研究2016
Author(s)
丁賽, 李克強, 別雍・古斯塔夫森, 佐藤宏, 瑞薩・漢斯姆斯
Total Pages
260(84-125, 231-248)
Publisher
社会科学文献出版社