2015 Fiscal Year Annual Research Report
グローバル経済下の競争政策の課題に関する総合的研究
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15H03341
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
岡田 羊祐 一橋大学, 大学院経済学研究科, 教授 (30224033)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
林 秀弥 名古屋大学, 法学研究科, 教授 (30364037)
川濱 昇 京都大学, 法学研究科, 教授 (60204749)
佐藤 英司 福島大学, 経済経営学類, 准教授 (90707233)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 独禁法 / 審判決事例 / 法と経済学 |
Outline of Annual Research Achievements |
1.審判決研究会の実施:平成27年度は4つの事件に関する合同研究会を開催した。すなわち、EUインテル事件(支配的地位の濫用、7月)、トイザらス事件(優越的地位の濫用、10月)、新潟タクシー事件(自動認可運賃と監督官庁による行政指導のもとでの価格協定、11月)、EUマスターカード事件(ネットワーク利用フィーを通じた競争回避、12月)である。また、研究代表者および研究分担者による審判決事例研究会を合計4回実施した。 2.平成28年2月14日~15日に、泉水文雄神戸大学教授をゲストスピーカーとしてブラウン管事件を素材にして、独禁法の域外適用をテーマとする研究会を開催した。また公取委・競争政策研究センターと連携しつつ、内外の著名弁護士・実務家へのヒアリング・意見交換を行った。 3.独禁法審判決事例研究の総合的検討を行うために、3月に合宿形式によって、独禁法に関する最新事例に関する研究会を実施した。そこで採り上げた事例は下記の8事例である。すなわち、(1)多摩談合事件(入札談合と基本合意)、(2)BHPビリトン・リオティントJV型統合事件(市場の画定と供給能力の調整)、(3)ASML・サイマー統合事件(垂直統合による市場閉鎖)、(4)有線ブロードネットワーク事件(低料金による顧客奪取)、(5)NTT東日本事件(マージンスクイーズによる排除)、(6)DeNA事件(プラットフォームにおける取引妨害)、(7)ハマナカ事件(再販売価格の拘束)、(8)セブンイレブン事件(フランチャイズ契約における優越的地位の濫用)である。 これらの研究会によって、審判決事例の最新動向について情報収集を進めるとともに、法学と経済学が連携しつつ知識の体系化と共有化を深めることができた。また、著名な法学者・弁護士である泉水文雄神戸大学教授、平山賢太郎モリソン・フォースターLLP弁護士らの参加を得て審判決研究会のメンバーを32名に拡充した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成27年度当初の研究計画どおり、独禁法文献調査、ヒアリング調査、内外の審判決事例の情報収集、重要事例に関する研究会を行った。これによって、法学者、経済学者、弁護士等の実務家との間で知識の体系化と共有化を進めつつ、新しい知見を蓄積することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度は、これまで蓄積してきた審判決事例に関する理論的分析を進める。その際、できる限り、個別事件で対象となった産業の市場構造・市場行動上の特徴を包括的に把握しつつ、諸外国と比較した日本の競争政策・独禁法規制の特殊性と普遍性を抽出・整理する。また、国際的な企業結合事例に関する文献調査を始める。特に、独禁法の域外適用の措置体系が問題となるグローバル企業の企業結合事例を中心に取り上げる予定である。また、可能であれば、経済データの収集と実証分析にも取り組むこととしたい。さらに、一部の研究成果について、内外の学会・シンポジウム等で発表する。
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Research Products
(14 results)