2016 Fiscal Year Annual Research Report
グローバル経済下の競争政策の課題に関する総合的研究
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15H03341
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
岡田 羊祐 一橋大学, 大学院経済学研究科, 教授 (30224033)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
林 秀弥 名古屋大学, 法学研究科, 教授 (30364037)
川濱 昇 京都大学, 法学研究科, 教授 (60204749)
佐藤 英司 福島大学, 経済経営学類, 准教授 (90707233)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 競争政策 / 独占禁止法 / 産業組織論 |
Outline of Annual Research Achievements |
1.審判決研究会の実施:平成28年度は主に4つの行為類型および関連する違反事件に関する合同研究会を実施した。すなわち、①セット割販売を中心とする抱き合わせ販売、②最恵国待遇条項(MFN条項)および関連する事件としてブッキングドットコム事件等のEU加盟国の確約決定、③医薬品企業であるGSKとNovartisの企業結合に関する米国・欧州・日本の審査・決定の比較、④ハブサンドスポーク型および価格シグナリング型の共同行為への規制、の4点を中心に、関連する諸外国の事件を包括的に概観しつつ、競争法による望ましい規制の在り方について研究を進めた。また、研究代表者および研究分担者による審判決研究会を合計4回実施した。 2.これまでの審判決研究会の成果物として、岡田羊祐・川濵昇・林秀弥編著『独禁法審判決の法と経済学』東京大学出版会(平成29年1月)を刊行した。また、経済法学会および公正取引委員会にて研究成果の一部を報告する機会も得た。 3.これまでの研究成果をさらに深掘りしてメンバーの相互理解を深める目的で、平成29年3月25~26日に合宿形式による審判決研究会およびミニコンファレンスを、渕川和彦氏(山口大学)をお招きして山口市にて開催した。この研究会では、日本の競争政策の展望と課題について議論したのち、これまでの研究会で採り上げた4つの事件(新日鐵・住友金属合併事件、ASML・サイマー統合事件、JASRAC事件、セブン-イレブン事件)を採り上げて、研究会メンバー相互で批判的に研究成果の意義と限界について議論を行い、後藤晃氏(東京大学名誉教授)および川濵昇氏による総括コメントを得て、研究成果の意義と課題を共有しつつ盛会のうちにミニコンファレンスを終了した。 これらの研究会を通じて、審判決事例の最新動向について情報収集を進めるとともに、法学と経済学が連携した知識の体系化を行うことができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成28年度当初の研究計画どおり、独禁法文献調査、ヒアリング調査、内外の審判決事例の情報収集、常用事例に関する研究会を実施した。これによって、法学者、経済学者、弁護士等の実務家との間で知識の共有化と体系化を進めることができた。また、書籍の刊行や学会発表等を通じて、こうした新しい知見の蓄積と情報発信に貢献することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度は、これまでに蓄積した審判決事例に関する理論的分析をさらに進める。その際、できる限り、個別事件で対象となった産業の市場構造・市場行動上の特徴を包括的に検討しつつ、諸外国と比較した日本の競争政策・独禁法規制の特殊性と普遍性を抽出する作業を進める。また、今年度は独禁法制定70周年の節目を迎えることも念頭に置きつつ、一部の研究成果について内外の学会やシンポジウム等で発表を行う。
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Research Products
(13 results)