2015 Fiscal Year Annual Research Report
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15H03354
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
新熊 隆嘉 関西大学, 経済学部, 教授 (80312099)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
土居 潤子 関西大学, 経済学部, 教授 (00367947)
岡田 啓介 関西大学, 経済学部, 准教授 (70633064)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 資源・援助の呪い / オランダ病 / 民主主義 |
Outline of Annual Research Achievements |
理論分析では、資源・援助の呪いを説明するミクロ経済モデルの開発を目指した。資源・貿易財・非貿易財の3セクターを考え、貿易財・非貿易財資源セクターで生じるレントはElite(資本家)に、資源セクターで生じるレントは独裁者に帰属すると仮定した。独裁者は体制維持のために国民の一部を公務員として雇う。レントを増やそうとEliteと人民に対して課税する独裁者に対して不満をもつEliteと公務員以外の人民は革命を起こすために結託することができる。資源価格が高い状態と低い状態が確率論的に生起する中で、独裁者の戦略を完全マルコフ均衡の概念を用いて分析した。ポイントは一部の人民を公務員として雇うことが最適となるか、資源価格と各セクターに対する最適税率・所得税率との関係、Dutch Disease(オランダ病)の従来の説明はどのような影響を受けるのかである。現在、計算中であり、まだはっきりとした結果を得ていない。 実証分析では、天然資源の豊富さが制度の質にどのような影響をもたらすのかについて研究を進めた。制度の質としては、特に汚職水準に着目した。汚職は直接的・間接的に経済発展に悪影響を及ぼすことが知られており、天然資源の豊富な開発途上国では特に問題となっている。研究では天然資源の種類による影響の相違なども考慮している。現時点までに、データを収集し、計量経済学的分析を行った。暫定的な結果は得られているが、今後、さらに検討を重ね、次年度中に論文を完成させる予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
実証分析では一定の分析結果を得ており、おおむね予定通り研究が進んでいると言えるが、理論分析での遅れは否めない。遅れている具体的な理由は、当初のアイディアが、(申請時に見落としていた)先行研究のそれとよく似ており、新しい要素・問題意識を探求せねばならなくなったことにある。現在、理論モデルの骨子が定まったばかりであるが、今後遅れを取り戻すべく全力を挙げて研究を進めていくつもりである。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度は、平成27年度に完成させることができなかったミクロ経済モデルの完成と、実証分析を論文として仕上げることが最優先に取り組んでいく予定である。さらに、平成28年度は当初の予定通り、ミクロ経済モデルから得られたミクロ経済学的基礎付けをもとに、その成果を内生的成長モデルに取り込むなどを行うことで、マクロ経済モデルの開発も手掛けていく。具体的には資源・労働・物的(人的)資本から生産が行われることを想定し、資源開発が労働の分配や物的(人的)資本にどのような影響をもたらすのかを検討する。
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Research Products
(8 results)