2015 Fiscal Year Annual Research Report
技術革新とネットワーク外部性を考慮した両面寡占市場に関する理論的・実証的研究
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15H03355
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Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
土井 教之 関西学院大学, 技術革新と寡占競争研究センター, 客員研究員 (60098431)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 伸生 関西学院大学, 経済学部, 教授 (00351726)
二神 孝一 大阪大学, 経済学研究科, 教授 (30199400)
猪野 弘明 関西学院大学, 経済学部, 准教授 (30546776)
土居 直史 札幌学院大学, 経済学部, 講師 (30633945)
新海 哲哉 関西学院大学, 経済学部, 教授 (40206313)
加藤 雅俊 関西学院大学, 経済学部, 准教授 (80507707)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 両面市場 / ネットワーク外部性 / 技術革新 / プラットフォーム企業 / 競争政策 |
Outline of Annual Research Achievements |
理論班は、本研究に関連する問題である、垂直的取引と連続的寡占、ネットワーク外部性と技術革新、ネットワーク外部性のある両面市場についての既存の理論的分析を展望した上で、米国の実証結果も考慮しながら、強い技術とネットワーク外部性に関わる補完性を組み込むプロトタイプ理論モデルを考察した。 他方、実証班は、プラットフォーム型産業についての欧米の既存実証研究を展望し、並行して我が国産業の産業組織について資料を収集し、実証分析のためのデータを作成した。また、関連する競争政策について欧米の実態を調査した。そのさい、電気通信分野やゲーム産業についてヒアリングを重ね、定性分析も試み、そして政策当局者にもヒアリングを行った。加えて、ネットワークサービスの費用推定に構造推定などの新たな推定方法の適用可能性を検討した。両班のメンバーは随時議論し、そしてまたメンバー外からの助言、評価を得る、そして同時にメンバー間の問題意識・接近を擦り合わせるために中間報告会(「IOワークショップ 寡占、競争とイノベーション」、2015年8月17~18日、於札幌学院大学)とソフト企業関係者からヒアリングを行った。 2016年3月に実施予定であったが、講演者の都合で延期された両面市場についての国際ワークショップ(”International Workshop Competition and Public Policy in Network Industries”, 2016年12月5~6日、於関西学院大学)を、David Evans教授(シカゴ大学)を基調講演者に迎え、他に外国研究者2名を含む研究者の参加を得て開催した。企業の行動や国の競争政策の実態などを巡って活発な議論が展開された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の課題は、産業構造上大きな比重を占めながらも、絶えず変動し、そして分析も必ずしも十分ではない問題を対象としているために、メンバー間の問題意識や接近方法を常に擦り合わせていくことが必要である。そこで、初年度として、各人の問題設定、捉え方等をできるだけ調整し、そしてそれぞれに関連する既存の研究や関連する具体的な産業の実態などを理解することに重点を置き、メンバー間の相互理解に努めた。メンバー全員、そしてまたそれぞれにおいて、企業・業界団体などへのヒアリングを行い、多くの情報・資料を得、相互に交換した。なお、この過程で予定された、両面市場研究の世界的リーダーのDavid Evands教授を迎えての国際ワークショップの開催がこの過程の行事として予定されたが、同氏の都合で2016年度に延期し、開催した。 以上の過程を通して、メンバー間の相互理解と相互啓発は確実に進んだと思われ、そしてそのプロセスで作成された成果は、新知見を含む論文、展望論文などとして学会、研究会、雑誌などで報告・発表された。今後、こうして得られた知見、情報を基に、メンバーは理論分析、実証分析、競争政策の実態の考察などについてそれぞれ新たな展開を図る予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度に構築した両面寡占のプロトタイプ動学的理論モデルにおいて、企業の技術革新や合併などを行ったときに、これらが市場構造に及ぼす影響を展望するため、川上・川中・川下の企業の技術開発や合併の意思決定を明示的にモデルに導入し拡張する。この理論モデルでの市場均衡における経済厚生を分析する。併せて、政府の競争政策を導入し、モデルを用いたシミュレーション分析を行い、それらの変化が社会的厚生にもたらす影響を分析する。この際、実証班による研究結果に照らし合わせ、モデルを改良する。これらの研究成果を論文にまとめ、学会や研究会議などで研究報告する。そのさい、欧米の研究を含めて研究動向を他の研究者との議論を通じて把握する。 他方、実証班は、平成27年度に得られた資料・情報をもとにして構築されたデータセットを用いて、企業レベルのミクロデータにより計量分析を試み、そしてまた代表的産業(例えばゲーム産業)を取り上げその産業組織分析を行う。この分析では、企業の技術開発や合併・提携などに伴う企業間関係の変化が連続寡占市場の企業行動にどのような影響を与えるのかについて明らかにする。また、欧米諸国の競争政策の実態を分析し、その課題や我が国への含意を探る。なお、平成27年度から行っている分析については論文としてまとめ、国内外の研究会議で積極的に成果を発信し、ディスカッション・ペーパーとして公表する。 なお、平成28年度に延期されていた、両面市場を巡る国際ワークショップを2016年12月に開催した。
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Research Products
(24 results)