2015 Fiscal Year Annual Research Report
サービス産業の顧客満足度がサービスの生産性に与える影響の実証的研究
Project/Area Number |
15H03395
|
Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
小川 孔輔 法政大学, 大学院イノベーション・マネジメント研究科, 教授 (50105855)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小野 譲司 青山学院大学, 経営学部, 教授 (90308247)
酒井 理 法政大学, キャリアデザイン学部, 准教授 (30411466)
豊田 裕貴 法政大学, 大学院イノベーション・マネジメント研究科, 教授(移行) (40398946)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | サービス / JCSI / 顧客満足度指標 / 日系企業 / 生産性 / アジア / ブランド / マーケティング |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究プロジェクトは、日本のサービス産業に必要とされる3つの重要な経営課題に貢献できるような理論的な枠組みを構築することを主たる研究目的としている。その課題とは、①日本のサービス産業の生産性を高めること、 ②サービス産業における収益性向上のメカニズムを明らかにすること、 ③マネジメントプロセスの業界横断的な移転を促進することである。 具体的な研究手法としてはまず、サービスマーケティングの理論をベースに経済産業省の支援(2007年ー2009年)で開発された、顧客満足度測定の枠組み (日本版顧客満足度指数= 「JCSI」 のデータベース)を有効活用し、顧客のサービス利用経験データに基づく実証分析を進めている。小野は、JCSIデータを用いて、CSI(満足度指数)とロイヤルティの関連性について、スイッチングコストと他者推奨の要因を加えた理論モデルを構築し、実証研究を行った。また、小野と小川は、各業界のCS担当者と共同研究会を開き、事業レベルの成果指標とCSIとの関連性について、事例研究を踏まえた理論的・実証的研究を蓄積している。小川はサービスの中でも特に流通業のビジネスモデルに注目し、実務家や現場での取材、意見交換を通じ、川上(1次産業)から川下までを統合するSPAモデル、分散型の個店経営モデルなど、新しい流通ビジネスモデルに関する研究を進めている。 さらに、 研究成果の実務へのフィードバックと、 アジア市場への応用を視野に入れた研究も重ねている。実務家に向けて、流通専門誌や経済紙に成果を発表している。JCSIの顧客満足度測定の枠組みについては、アジア地域に拡張することを目的にプロジェクトが進行中である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
JCSIと収益の理論化については、2016年度から本格的に取り組む。 JCSI指標を基に、幅広い業界にわたるサービス生産性、CS関連部門の担当者と勉強会を開催した(計7回)。 サービス、特に流通業の川上~川下展開の新しい動きの取材やリサーチを進めた。 アジアにおけるマーケティング関連の実務家との交流も始めている。
|
Strategy for Future Research Activity |
本研究では、 以下のような手順で研究を計画・実施する。研究課題を(1)サービス業の収益性に関する理論構築、(2)業界横断的な大規模データによる実証分析、(3)アジア諸国に適応分野を広げるための応用研究の3つに分けて整理する。 (1)サービス業の収益性に関する理論構築については、これまでの先行研究から顧客満足と収益性には正の相関があることがほぼ明らかである。本研究ではさらに先に進めて、サービス業における高い顧客満足が業績(生産性と収益性)にどのような影響を与えるのかを理論的に研究する。プロジェクトリーダーの小川(法政大学)と小野(青山学院大学)が、この因果関係を確認するリサーチを担当する。 (2)業界横断的な大規模データによる実証分析に関しては、現在、日本版顧客満足度指数は32業種を対象にデータ収集されており、この大規模データを分析し、収益性の分析研究に拡張する。大規模データの分析は主に豊田(法政大学)と小川が、 実務的な活用には小野と小川が、事例研究と関係づけるリサーチは酒井(法政大学)が作業を担当する。マーケティング・サイエンス学会の部会と共同で、データ分析を行う(豊田チーム)。 (3)JCSIモデルのアジアへの適用可能性を検証するため、台湾にJCSIモデルを移植し、現地での調査とデータ分析等を支援する。応用研究として、サービスの国際比較研究(アジア版顧客満足度指数調査の開発)と、JCSIモデルの企業向サービスや非営利組織への拡張に取り組む。サービス国際比較の主担当は小川と小野、 JCSIモデル拡張の実証研究は主に酒井が行う。小売やサービスの経営現地化についても、出版を前提に取り組む。 今年度は、 CSIと収益性に関する研究会、アジアへの海外出張、学会での共同発表や事例研究講演会を開催したい。また、流通業の川上~川下展開の新しい動向に関する調査も進める。
|
Remarks |
(1)JCSI指標の時系列データを用い、顧客満足の諸指標の変化から経営の背景にある課題を分析した (2)小川孔輔個人ブログ。中国における消費者調査の集計結果(要約)を公表した。
|
Research Products
(20 results)