2015 Fiscal Year Annual Research Report
社会学のディシプリン再生はいかにして可能か――デュルケーム社会学を事例として
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15H03409
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Research Institution | Nara Women's University |
Principal Investigator |
中島 道男 奈良女子大学, 人文科学系, 教授 (10144635)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小川 伸彦 奈良女子大学, 人文科学系, 教授 (10242992)
太田 健児 尚絅学院大学, 総合人間科学部, 教授 (00331281)
小関 彩子 和歌山大学, 教育学部, 准教授 (10379604)
菊谷 和宏 和歌山大学, 経済学部, 教授 (40304175)
北垣 徹 西南学院大学, 文学部, 教授 (50283669)
岡崎 宏樹 神戸学院大学, 現代社会学部, 教授 (00329921)
三上 剛史 追手門学院大学, 社会学部, 教授 (80157453)
江頭 大蔵 広島大学, 社会(科)学研究科, 教授 (90193987)
古市 太郎 文京学院大学, 人間学部, 助教 (40578473)
飯田 剛史 大谷大学, 文学部, 教授 (10127045)
藤吉 圭二 追手門学院大学, 社会学部, 教授 (70309532)
林 大造 神戸大学, キャリアセンター, 学術研究員 (50565900) [Withdrawn]
中倉 智徳 立命館大学, 衣笠総合研究機構, 専門研究員 (30586649)
白鳥 義彦 神戸大学, 人文学研究科, 教授 (20319213)
横山 寿世理 聖学院大学, 人文学部, 准教授 (00408981)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 社会学 / 社会学史 / デュルケーム / ディシプリンの再生 / 自己反省の社会学 |
Outline of Annual Research Achievements |
現代の社会学はディシプリンの固有性が揺らぎ、発信力や教育力の低下、学徒減少などの危機に直面している。この危機に根本から取り組むためには、社会学のディシプリンがいかに構築されてきたかを解明する「自己反省の社会学」の営みをいっそう深化させなければならない。そこで本研究は、ディシプリンの確立を成し遂げたデュルケーム社会学を事例として取りあげ、4班に分かれて下記の研究を実施した。 起源解明班:社会学のディシプリン化の源流を『社会学的方法の規準』の成立とその周辺に求めた。当時、社会学分野以外 (主に哲学分野)も、自らの学問をsociologieと名乗り、その性質をpositifとし、fait概念にも親和的だった。そのため『規準』の再読と新訳作業に加え、哲学側の議論も分析し、デュルケームを含めた当時の“論壇”の再構成に努めた。 解釈史検討班:本年度は、2度の研究会議を開催し、デュルケーム社会学が社会学・人類学・思想の分野でどのように批判・継承されたかを解明する作業を進めた。歴史的・発生論的方法、「贈与論」の継承、バウマン/バタイユによるデュルケーム解釈、「自殺論」の解釈史に関する研究報告が行われた。 国際比較班:スペインの諸大学での社会学受容に関する訪問調査、および台湾でのデュルケーム受容に関する聴取り調査を実施した。また、社会運動論におけるデュルケーム的枠組みとモース的枠組みの受容の国際比較に役立てるべく、アメリカと日本の事例研究を行った。 社会学教育班:第一回全体研究会(10月)で、アルヴァックスおよびパーソンズそれぞれに対するデュルケームの影響についての報告2本を行った。また班別会議(2月)では、日本の社会学教育についてのシラバスおよび『社会学評論』特集号の検討を通じた二考察、今後の研究の方向性の議論、『命題集』刊行進捗確認等を行った。 全体:HP作成(28年度公開)、電子版ニュースレター発行
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ディシプリンの成立過程に関しては、ディシプリンの根幹に関わる「社会学的方法の規準」成立過程について当時の隣接領域との対比で検討し、デュルケームがいかに継承・批判されたかについても多様な観点から検討した。また、限られた予算のなかではあるが、海外のデュルケーム社会学受容状況について現地調査および聴取り調査を実施し、社会学教育法の開発に向けて日本の社会学教育についてのシラバス検討等を行った。こういった作業により、デュルケーム社会学を事例として、社会学のディシプリンの再生に必要な知見を解明するための基盤固めができた。
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Strategy for Future Research Activity |
起源解明班は、ディシプリンの根幹にかかわる社会学的方法の規準の成立について、主として以下の諸観点から解明していくとともに班員が国際学会で発表する:①実証主義の系譜、②同時代の哲学者・社会学者や他領域との布置関係。 解釈史検討班は、諸学との関係とディシプリンの変容をとらえるべく、デュルケーム社会学の批判・継承様態を次の諸観点から解明していく:①モースによる継承、②バタイユ、カイヨワによる展開、③バウマンによる展開、④ブルデューによる展開、⑤自殺研究の系譜等。 国際比較班は、デュルケームの学説の各国での受容と教育プログラム化の状況を以下の諸点から解明する:①各国の社会学史・教育史文献および学説適用事例の収集・分析、②各国の研究者との連携強化、③海外調査(アジア) 社会学教育班は、社会学理論の教育ツールの探索を踏まえて、新たなツールの開発をめざすため下記に取り組む:①社会学(理論・学史)の教授法調査・モデル事例探索・分析、②新たな教育ツールの開発『デュルケーム命題集』企画の推進
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Research Products
(12 results)