2016 Fiscal Year Annual Research Report
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15H03416
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
長谷 正人 早稲田大学, 文学学術院, 教授 (40208476)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菊池 哲彦 尚絅学院大学, 総合人間科学部, 准教授 (10419252)
前川 修 神戸大学, 人文学研究科, 教授 (20300254)
加藤 裕治 静岡文化芸術大学, 文化政策学部, 准教授 (20633861)
松谷 容作 同志社女子大学, 学芸学部, 助教 (60628478)
大久保 遼 愛知大学, 文学部, 助教 (60713279)
増田 展大 立命館大学, 先端総合学術研究科, 非常勤講師 (70726364)
角田 隆一 横浜市立大学, 国際総合科学部(八景キャンパス), 准教授 (80631978)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 通信としてのテレビ / 演劇としての写真 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、基礎理論班7回(4月16日、5月14日、7月16日、8月4日、10月29日、1月6日、2月7日)、実証研究班2回(6月11日、1月28日)の研究会を開催して研究を進めた。 基礎理論班はTom Gunningによる、漫画やCG技術と映画との関連を論じる2本の論文を中心にして翻訳を進めながら、映像理論を静止した絵画のように研究するのではなく、動きのあるものとして捉えるにはどのような理論が可能かを中心に議論した。 実証研究班は、6月11日には飯田豊『テレビが見世物だったころ;初期テレビジョンの考古学』(青弓社2016)の書評会を著者自身を招聘して行い、また同時に川崎佳哉氏にBrad Schwartz" Broadcast Hysteria"(2015)を紹介して頂いて議論した。それぞれテレビとラジオというマスコミが、創成期においては人びとに通信技術として受容されていたことをめぐる研究であり、それを現代社会におけるスマホの普及状況の分析にどう関連させるかの可能性が議論された。なおこの研究会は「文化社会学研究会」と共催として本研究者の外部の方にも参加して頂いた。 また1月28日には榎本千賀子氏を招聘して明治時代の今成家で私的趣味として行われていた写真撮影の様子をご紹介いただき、その写真が現在のプリクラやコスプレ撮影とよく似た演劇的な身振りを示している点を中心に議論が展開され、写真と人びととの関係の考察を深めた。さらに実証研究班のメンバー全員の執筆によって、本研究成果を社会的に普及していくために長谷正人編『映像文化の社会学』(有斐閣)を教科書として出版した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績にあるように、われわれは年9回にわたって熱心な討議を行った。本研究は、これまで芸術学と社会学とに分断されてきた映像研究を統合して、日常的に映像テクノロジーを利用する現在の社会状況を説明できるような新しい研究のパースペクティブを切り開いていくことを目論むものであるが、その新しいアプローチのユニークさは、研究会をオープンなものとして開催したり、教科書を出版したりすることを通して、一定程度社会的に開示することができたと思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
3年間の本研究もあと一年である。 最終年度は、基礎理論班としてはTom Gunningの翻訳作業を完了させることを目標とし、実証研究班としてはこれまでの研究成果を踏まえたシンポジウムを開催することを予定している。それらの研究成果を踏まえて、より深い視点から日常的映像の研究を行えるような計画をさらに立てていく予定である。
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Research Products
(11 results)