2015 Fiscal Year Annual Research Report
地域福祉専門職による過疎地域支援のための診断指標の開発-関係性の分析-
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15H03442
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Research Institution | Chubu Gakuin College |
Principal Investigator |
大井 智香子 中部学院大学短期大学部, 社会福祉学科, 准教授 (60352829)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高野 和良 九州大学, 人間・環境学研究科(研究院), 教授 (20275431)
小松 理佐子 日本福祉大学, 社会福祉学部, 教授 (40301618)
永井 裕子 福井県立大学, 看護福祉学部, 助教 (70460590)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 地域福祉 / 過疎地 / 地域再生 / 社会資源 / 関係性 / 生活支援システム |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、社会資源の不足する過疎地域において、福祉的な支援を必要とする状態にある高齢者の生活の継続を可能にするための地域福祉専門職による地域支援の方法の開発である。とりわけ地域支援の前提となる地域診断に焦点をあて、従来国の政策で用いられてきた過疎地域の定義や「限界集落論」などにみられる人口要件や財政力要件を指標とする診断指標とは異なる質的な診断指標の開発を目標としている。初年度である2015(平成27)年度は、本研究のベースとなった「過疎豪雪山村における持続可能な生活支援システムの開発に関する研究:基盤研究(C)」(2012年度(平成24年度)~2014年度(平成26年度)の成果をふまえ2016(平成28)年度より実施予定の本調査のための予備調査(ヒアリング)の実施、分析枠組みを具体化するための理論研究に取り組んだ。 (1)研究会の開催:第1回2015年5月23日、第2回2015年7月19日、第3回2015年9月7日、第4回 2015年12月19日 の計4回開催し、研究の枠組みの構築、調査計画、収集した事例の検討等を行なった。 (2)ヒアリング調査の実施:日常生活における関係性の実態把握のため、調査枠組みに基づきヒアリング調査を実施した。調査先は、岩手県大船渡市(環境的切断)、長崎県五島市(地理的切断)である。 (3)実践事例の収集・検討:調査枠組みに基づき、各メンバーがそれぞれ事例の収集にあたり、研究会で検討を行なった。 (4)このほか行政等の協力を得ながら当該地域の地域生活構造把握のために必要な資料を収集した。これらのデータは、本研究が目的としている診断指標の開発について検討する際の有用な材料として考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度である2015(平成27)年度は、本研究のベースとなった基盤研究(C)の成果をふまえ2016(平成28)年度より実施予定の本調査のための予備調査(ヒアリング)の実施、分析枠組みを具体化するための理論研究に取り組んだ。 分析枠組みとして、過疎地域において関係性が切断される局面として①地理的切断(中心都市との距離、中山間、離島)、②環境的切断(被災による切断)、③人為的切断(個人のライフヒストリーによる支援者からの切断、政策による切断)を設定した。このうち、②環境的切断(被災による切断)に該当する岩手県大船渡市(環境的切断)、①地理的切断(離島)に該当する長崎県五島市(地理的切断)においてヒアリング調査を実施した。この地域のほかに、各メンバーが関わっている地域において予備的調査を実施している(岐阜県高山市、岐阜県大野郡白川村、福井県今立郡池田町、三重県南牟婁郡紀宝町など)。いずれも基盤研究(C)より継続して調査を行なってきた地域社会であり経年変化を観察してきている。 本研究が最も問題視すべきことは、過疎地において人口が減少していくことのみでなく、関係性が断ち切られていくこと=「関係性の貧困」にあることを確認し、時間経過に応じた地域支援の方法が必要になるという仮説を得た。これらの成果の一部は2015年日本地域福祉学会 第29回全国大会において報告された(小松理佐子「縮小する集落における生活支援の現状と課題-「平成の大合併」後の変化をもとに-」)。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに実施した調査の分析、またメンバーそれぞれが収集した事例の整理検討を行なうとともに、実態調査を実施する。 (1)日常生活における関係性の実態調査:(調査対象)地域支援を行っている支援者。調査先は平成27年度の調査をもとに確定、(調査方法)ヒアリング調査、(調査内容)地域の住民間の関係や、地域支援の実態や困難性など (2)福祉的な支援を必要とする人への支援をめぐる関係性の実態:①支援者対象調査 (調査対象)民生委員・児童委員、保健師、地域包括支援センターの専門職、(調査方法・内容)ビネット調査法を用いたグループインタビュー ②当事者対象調査(調査対象)公民館など地域の交流の場を利用している高齢者、(調査方法・内容)他計式アンケート調査 (3)新たな関係性の創出方法の検討:(1)(2)で示した本調査の結果を比較分析する。それをもとに、介入の方法についての検討を行う。 (4)関係性の分析枠組みの再検討:(1)~(3)の作業を行いながら2015(平成27)年度に仮説として設定した分析枠組みの妥当性を検討し、地域診断の指標を作り上げていく。
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Research Products
(3 results)