2017 Fiscal Year Annual Research Report
高等学校における不登校と“社会で生きていく力”支援プログラムの開発と追跡調査
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15H03452
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Research Institution | Nara Women's University |
Principal Investigator |
伊藤 美奈子 奈良女子大学, 生活環境科学系, 教授 (20278310)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
相馬 誠一 東京家政大学, 人文学部, 教授 (20299861)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 高等学校 / 不登校経験者 / 生きる力 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成29年度は、これまでに実施した調査結果をもとに、共同研究者を含めた研究者らとともに学会にて自主シンポジウムを実施した。その1つが、日本教育心理学会第59回総会における「高等学校における不登校への支援と“社会で生きていく力”-義務教育後の不登校支援のあり方-」(伊藤が企画・司会、相馬が報告者)である。ここでは、調査結果に加えて、海外の高等学校における支援の現状や管理職の立場からの支援の実際について議論が行われ、会場からの参加もあり有意義な報告となった。さらに、第14回子ども学会議(日本子ども学会学術集会)では、「不登校児童・生徒を対象とした「親子宿泊体験教室」の効果」(伊藤は第2報告者)という演目でポスター発表を行い、キャンプが子どもたちの生きる力を育む可能性について議論した。 また、調査結果の一部をまとめた学会誌論文が受理された。『心理臨床学研究』には、「小中学校における不登校経験者の通信制高校卒業後の適応状況」が掲載された(伊藤は第2著者)。さらに、高校生に対する心理臨床的実践については、『奈良女子大学心理臨床研究』に「居場所としての校内カフェにおける実践報告-課題解決に向けた取り組み-」(伊藤は総監修)をまとめた。 高等学校における支援について、主に不登校や不適応への支援という切り口で、さまざまな報告を行うことができた。義務教育を終えた高等学校においても、不登校予備軍や中退予備軍、不適応生徒に対し、さまざまな支援を行っており、それらが「生きる力」につながっている現状の一端を明らかにすることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでの調査結果について、学会や学会誌に報告するとともに、その成果についての議論も続けており、平成30年度に行う研究計画もほぼできている。以上より、おおむね順調に進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度は、これまでに引き続き、“社会で生きていくための力”支援プログラムの開発を行う。具体的には、以下の研究を実 施予定である。 (1)“学ぶ力”プログラム、“交わる力”プログラム、“心身の健康”プログラムを先行的に取り入れ実施している学校や支 援施設(海外を含む)でのフィールド調査(フィールドとしては、クラーク記念国際高等学校および関西福祉大学附属金光藤蔭 高等学校の協力を得る予定である) (2)協力校・支援機関との協力により、3つの力を高めるための支援プログラムについて開発する。 (3)“社会で生きていくための力”支援プログラムを受けた生徒を対象に追跡調査を行い、実生活におけるそのプログラムの 成果を具体的に検証する。「高校入学・卒業」という客観的状況だけではわからない“学ぶ力”“交わる力”“心身の健康”が 身についているか、さらにその後の生活に生かされているのか、追跡調査により縦断的に明らかにする。
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Research Products
(9 results)