2015 Fiscal Year Annual Research Report
ランダム化比較試験にもとづくメタ認知トレーニングの心理学的・生理学的検討
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15H03455
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
石垣 琢麿 東京大学, 総合文化研究科, 教授 (70323920)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 心理学的介入 / 統合失調症 / メタ認知 / 妄想 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度は次に挙げる本研究への準備を行うことができた。①申請者が創設した全国組織である「MCT-Jネットワーク」を通じて、本研究の協力機関を募った。ネットワークの会員数は昨年よりも約200人増えて650人程度になっている。また、48の医療機関(一部教育機関)でMCT-Jが実施されている(ネットワークに実績を報告した機関のみ)。現在のところ、5つの医療機関から受け入れ可能との返事を得ている。②申請者がハンブルク大学を訪問し、Moritz教授およびその共同研究者たちと研究の打ち合わせを行い、RCTを用いた先行研究に関して適宜指導受けた(平成27年9月18日から28日)。③協力機関も含めてMCT-Jを実施している、あるいは実施予定である機関のMCT-Jトレーナーを対象にしたワークショップを東京大学駒場キャンパスで開催した(平成27年12月19日・20日)。講師はカナダ・ブリティッシュコロンビア大学のTodd Woodward博士(准教授)、Mahesh Menon博士(臨床助教)であった。2人ともハンブルク大学のMoritz教授の共同研究者である。2日間にわたるワークショップの参加者は約150人であった。職種としては約三分の一が臨床心理士、次に作業療法士、看護師、医師、精神保健福祉士、その他と続く。MCT-Jのトレーナーは精神科医療関係者であれば職種を問わないので、このような多職種が参加したワークショップは成功であった。また、このワークショップによって、本研究に協力するトレーナーの質的均一性が確保できた。④光イメージング脳機能測定装置(NIRS)のSpectratech社製OEG-16を購入し、測定手技に習熟した。この装置はポータブルであり、協力機関が遠隔地であっても容易に搬入して調査を実施することができる。これらの準備により、次年度の本調査の実現可能性が確実なものになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は多施設共同研究であり、MCTに関してはわが国で初めてのRCTであるから十分な準備が必要である。協力機関への丁寧な説明や、調査に必要な装置の購入と操作への習熟に時間がかかった。そのため、当該年度にはランダム化対照試験が実施できなかった。しかしながら、次年度での調査実施に必要な準備はすべて整ったので問題はない。また、当該年度では、優れた外国人講師を招待して研修会を開いたり、高額な装置の購入したりといった科研費の有効活用が可能であった。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は、(1)協力機関をさらに募る。MCT‐Jネットワークの会員は現在約650名と、昨年より200名増えたため、協力機関の増加が期待できる。RCTで予定されている40名の被験者を集めるために必要な数の協力機関を用意する。(2)研究代表者が所属する機関の倫理審査委員会に研究計画を申請する。(3)委員会により申請が承認されたのち、UMIN-CTRに研究登録を行う。(4)各協力機関の倫理審査委員会に申請し、承認を得る。(5)協力機関において研究被験者の募集を開始し、研究の説明、および同意書取得を実施する。被験者の人権はヘルシンキ宣言等の一般的倫理綱領のみならず、各倫理審査委員会の定めるところに従い厳密に保護する。(6)連携研究者とともに被験者の層別ランダム化を行う。ランダム化試験と結果報告に際してはCONSORT20声明を遵守する。(7)被験者に対し、MCT‐J参加前のプレ・アセスメントおよびMCT‐Jを実施する。MCT‐Jは十分な訓練を受けたトレーナーが、マニュルに従って行う。MCT‐Jの8つのモジュールが完了した対象者から順にポスト・アセスメントを実施する。 関東ブロックと関西ブロックのアセスメント・リーダーも決まっているため、上記の準備が完了次第、すぐに研究を遂行できる環境が整った。
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Remarks |
2013年1月に創設。ネットワークの会員数は2016年3月現在で約650人。MCT‐J実施機関は全国で約50。
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Research Products
(7 results)