2016 Fiscal Year Annual Research Report
ランダム化比較試験にもとづくメタ認知トレーニングの心理学的・生理学的検討
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15H03455
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
石垣 琢麿 東京大学, 大学院総合文化研究科, 教授 (70323920)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 心理学的介入 / 統合失調症 / メタ認知 / 妄想 / 認知行動療法 |
Outline of Annual Research Achievements |
「メタ認知トレーニングMetacognitive Training(MCT)」は、妄想をもつ統合失調症患者に特徴的な認知バイアスに対する心理学的介入法である。研究代表者らは日本語版MCT(MCT-J)を開発し、わが国の精神科医療における利用可能性を確認した。本研究では、MCT-Jの臨床有用性をランダム化比較試験によって明らかにする。また、MCT-J実施前・中・後で陽性・陰性症状評価尺度(PANSS)、機能の全体的評定(GAF)、サイコーシスの認知バイアス質問紙(CBQp)、ベック認知的病識尺度(BCIS-J)、精神障害者の地域生活に対する自己効力感尺度(SECL)、不適応/適応的コーピング尺度(MAX)、生活の質尺度(EQ-5D)、ベック抑うつ尺度(BDI-Ⅱ)、Rosenberg自尊心尺度(RSES)を用いて心理学的変化を調べ、妄想を軽減させる心理学的メカニズムについて検討する。 昨年度は次の事項を達成することができた。(1)北海道、東京都、長野県、佐賀県、宮崎県、長崎県から7名の研究協力者(協力施設・機関は8施設)を得て、MCT-J実践者のトレーニングを行うことができた。(2)科研費の支援を得て、MCT-Jの評価尺度として有効だと考えられる「サイコーシスの認知バイアス質問紙(CBQp)」と「不適応/適応的コーピング尺度(MAX)」の日本語版を作成することができた。前者に関する研究論文はCognitive Therapy and Research誌に掲載されている(Ishikawa R, Ishigaki T, Kikuchi A, et al.(2017))。(3)本研究にも重要な資料となる「うつ病のためのメタ認知トレーニング(D-MCT)」日本語版の翻訳に、科研費の支援により着手できた。(4)本研究の計画書を研究代表者が所属する機関の倫理審査委員会に提出し、承認を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
最終年度である今年度は(1)UMIN-CTRへの研究登録。(2)協力施設・機関の倫理委員会からの承認。(3)協力施設・機関において研究参加者の募集を開始し、研究の説明、および同意書取得を実施する。(4)連携研究者とともに被験者のランダム化を行う。以上の手続きが終了したのちに順次データを収集する。各協力施設・機関ではMCT-Jの実施準備が整っており、既に実践している施設・機関もあるため、手続き終了後すぐに調査を開始できる。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画から以下の点が変更された。(1)認知バイアスの修正、および妄想の軽減のメカニズムを詳細に検討するため、調査に使用する尺度を増やした。(2)多くの協力施設・機関でNIRSを使っての調査ができない可能性が高くなったため、今回の分析ではNIRSによるデータは用いない。(3)ランダム化には適応的ランダム化法を用い、割付因子は「陽性陰性症状評価尺度(PANSS)の陽性症状合計得点」、および「実施施設」とする。(4)被験者は8つのモジュールに参加する条件であったが、10モジュールに変更した。(5)有用性を明確に示すためフォローアップ評価を加える。
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Research Products
(8 results)
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[Journal Article] Cross-cultural Validation of the Cognitive Biases Questionnaire for Psychosis in Japan and Examination of the Relationships between Cognitive Biases and Schizophrenia Symptoms.2017
Author(s)
Ishikawa R, Ishigaki T, Kikuchi A, Matsumoto K, Kobayashi S, Morishige S, Hosono M, Nakamura Y, Kase A, Morimoto T, Haga D
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Journal Title
Cognitive Therapy and Research
Volume: 41
Pages: 313-323
DOI
Peer Reviewed
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