2017 Fiscal Year Annual Research Report
近代化前後の日本におけるリテラシーの基盤的再編成に関する研究
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15H03471
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
大戸 安弘 横浜国立大学, 教育学部, 名誉教授 (90160556)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柏木 敦 大阪市立大学, 大学院文学研究科, 教授 (00297756)
大間 敏行 近畿大学九州短期大学, 通信教育部保育科, 講師 (00595390)
軽部 勝一郎 甲南女子大学, 人間科学部, 准教授 (30441893)
天野 晴子 日本女子大学, 家政学部, 教授 (50299905)
川村 肇 獨協大学, 国際教養学部, 教授 (60240892)
池田 雅則 兵庫県立大学, 看護学部, 教授 (60609783)
木村 政伸 九州大学, 基幹教育院, 教授 (70195379)
八鍬 友広 東北大学, 教育学研究科, 教授 (80212273)
鈴木 理恵 広島大学, 教育学研究科, 教授 (80216465)
太田 素子 和光大学, 現代人間学部, 教授 (80299867)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | リテラシー / 識字 / 学び / 書字 / 作文 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成29年度第1回研究会を、8月22日および23日に山口県教育会館にて行った。第1部の研究報告は4件であり、研究史の空白部分を埋めるに留まらない、意義深く成果の結実が待たれる内容であった。4件のテーマは次の通り。①木村政伸「西鶴作品に見る17世紀後期の子ども・子育てと読み書き・教養の形成」、②鈴木理恵「文字学び階梯の歴史的変化」、③八鍬友広「寺子屋教育と限界リテラシー」、④太田素子「幕末維新期の幼児教育構想ー近藤真琴を中心にー」。第2部では、これまで継続的に報告されてきたインディアナ大学名誉教授リチャード・ルビンジャー教授を中心とするメンバーによる、我々の共同研究の成果『識字と学びの社会史』(2014 年)の英訳化についての現状報告がなされ、継続して対応し、次年度での刊行を目指すことが確認された。翌23日には山口県文書館における史料調査を行い、各自の個別研究を深めた。 第2回研究会は、1月27日および28日に日本女子大学家政学部にて行われた。第1部の研究報告では次の4件が報告された。4件のテーマは、①天野晴子「近代化前後の書簡文例テキストの変容とジェンダー」、②大間敏行「明治初期の作文教授と填字法」、③川村肇「明治初年和歌山の識字状況調査(承前)」、④木村政伸「よみかき教室の活動」。第2部では。アメリカでの英訳化の現状と課題が報告された。 第3回研究会は、3月3日および4日に獨協大学国際教養学部にて開催された。第1部の研究報告は4件。それぞれのテーマは次の通り。①川村肇「明治初年和歌山の識字調査」、②木村政伸「西鶴作品にみる17世紀後期の識字能力と教養の形成」、③池田雅則「文官普通試験で課された科目と出題範囲ー官吏たりうる「智力」」、大戸安弘「近世長野の識字史料」。いずれも今後の展開が期待される内容であった。第2部では、アメリカでの英訳化の進捗状況が報告された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究会は3回実施され、毎回4件、総計12件の研究報告がなされたように、各メンバーの個別課題研究への取り組みは精力的になされている上に、今後の研究成果の纏まりに向けての見通しも期待される状況にある。このうち複数件の学会発表を検討しており、是非実現するべく準備を進めている。 また、これまで継続的に取り組んできた研究会の共同成果である『識字と学びの社会史』の英訳化についても、アメリカ側からの要望に応えての対応を行った。関心を示しているアカデミックな出版社からの全体分量の削減という課題に対して慎重な検討を行った。 さらに、昨年度、予備的な調査を行なった山口県文書館での史料調査を、本格的に行なった結果、今後の成果へと結実する可能性のある手がかりを得た。さらなる深化を意図した試みを進めたい。
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Strategy for Future Research Activity |
研究会の各メンバーの個別課題研究は、これまでの個々の研究蓄積のさらなる上積みを果たし、関連学会での研究発表を通して確固たる評価に到達するべく取り組みを強化したい。共同研究の英訳化の試みは、アメリカの出版社との交渉に入り、最終段階での調整が必要になっているが、平成30年度には問題を乗り越え、出版へと結びつくよう努力したい。また、本年度本格的に行なった山口県での史料調査で得た手がかりをさらに多面的かつ精緻に捉え直すことで、より具体化した結果へと展開させたい。
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Research Products
(6 results)