2015 Fiscal Year Annual Research Report
沖縄における教育指導者層の変容過程に関する研究―沖縄戦前後の人的構成に着目して
Project/Area Number |
15H03475
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Research Institution | Fukuoka Prefectural University |
Principal Investigator |
藤澤 健一 福岡県立大学, 人間社会学部, 准教授 (00301812)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
近藤 健一郎 北海道大学, 教育学研究科(研究院), 准教授 (80291582)
戸邉 秀明 東京経済大学, 経済学部, 准教授 (90366998)
櫻澤 誠 立命館大学, 衣笠総合研究機構, 研究員 (90531666)
高橋 順子 日本女子大学, 人間社会学部, 助教 (90555434)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 沖縄戦 / 戦時体制 / 教員団体 / 教育会 / 教員組合 / 教員史 / 教育制度 / 教育政策 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、1940年代から50年代はじめまでの期間を対象として、沖縄における学務担当者、教員団体幹部などの教育指導者層が、沖縄戦をはさんでどのように変容したのかについて、人的構成への着目を通じて実証的に解明することである。 本研究の対象時期は1945年3月から6月までの沖縄戦を画期として大きく二分される。このうち戦前期は大日本帝国下の沖縄県が、戦後期は米軍の直接占領下に置かれた民政府などの行政機関が教育管理組織の運営を担った。本研究は沖縄戦が民間人を巻き込む地上戦となり、教育指導者層をふくめ教育関係者に多数の戦死者を出した事実に着目する。このことは当該期の人的な断絶をとくに沖縄に顕著な特徴として予想させる。半面、旧植民地などからの帰還者をふくめ、教育指導者には戦後期にも連続して教育関係職に携わった事例が少なからずある。本研究がこころみるのは、教育指導者層の人的構成において、こうした「連続」と「断絶」がどのようにあったのかを具体的にあきらかにすることである。 本研究は、研究代表者をふくめ6名から組織される共同研究であり、2015年度から5ヶ年計画で進行している。本年度はその第一年度にあたるため、研究の目的と方法を共有化するとともに、基礎的な史資料の所蔵調査に充当した。その結果、戦前期の教育会機関誌『沖縄教育』の新出号発掘にくわえ、戦後期の教員団体機関誌の復刻刊行を実現した(『占領下の奄美・琉球における教員団体関係史料集成』全7巻・別冊1 )。後者について、解説を付した別冊の刊行は、2016年度前半に持ち越しとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
基礎史資料にかかわる調査研究が順調に進んでいるため、おおむね順調に、あるいはそれ以上の進行速度が確保できている。 先述の教育会機関誌『沖縄教育』新出号のほか、『占領下の奄美・琉球における教員団体関係史料集成』全7巻においては、『教育大島』『教育と文化』『新教育』『新教育ニュース』『新世代』『宮古教育』『教育時報』を代表に、対象として想定していた機関誌の調査研究が相応に進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
先述の復刻企画『占領下の奄美・琉球における教員団体関係史料集成』全7巻における書誌調査をさらに深めることを通じ、各機関誌にかかわる解説、書誌事項などを総覧する附表、また、総目次と総索引を完成させ、別冊として公表する。そのために必需となる、沖縄、宮古、八重山、また、奄美における書誌調査をひきつづき実施する。
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Research Products
(3 results)