2015 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15H03491
|
Research Institution | Bukkyo University |
Principal Investigator |
原 清治 佛教大学, 教育学部, 教授 (20278469)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山内 乾史 神戸大学, 大学教育推進機構, 教授 (20240070)
浅田 瞳 華頂短期大学, 幼児教育学科, 講師 (80454859)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | 教育社会学 / 青少年問題 / ネットいじめ / 学校病理 |
Outline of Annual Research Achievements |
『いじめ防止対策推進法』が策定されて以来、いじめの認知件数の実態は統計上明らかにされつつあるが、同法の中で危険視されている「ネットいじめ」については、その密室性ゆえに未知な部分が多い。平成27年度の研究においては、京都府下の高等学校95校、64,945名に対して、ネットいじめに関する大規模調査が完了した。全サンプルにおけるネットいじめの発生率は8.6%であり、もっとも高い高等学校の発生率の学校は19.6%、もっとも低い高等学校の発生率は3.3%であった。 本調査では、学年や性別によるネットいじめの差がみられない一方で、高校の学力階層によるネットいじめの発生率およびその内容に大きな差がみられた。学力上位校においてはネットいじめの発生率が低い一方で個人情報や画像を流出させるような緊急性の高いいじめが見えた。また、学力中下位校においてはネットいじめの発生率が高い一方で、メールやLINEでの誹謗中傷といった直接的な書き込みによる被害が多くを占めていたことが明らかになった。 また、学年別で比較した場合、全体の発生率が低い場合であっても学年によって極端な傾向を示す学校が少なからず存在しており、平成28年度の研修啓発においては、その学年の特徴をアンケート調査を踏まえた上で行う予定である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
研究当初の計画では京都府下の高等学校において悉皆調査を実施する予定であったが、平成27年度末に滋賀県内の高等学校においても順次アンケート調査および研修啓発が可能な高等学校があり、アンケート調査のサンプル数は予定よりも多くなっている。また、兵庫県内の高等学校においてもアンケート調査および研修啓発の了解を得ている学校があり、今後近畿圏内にフィールドを広げた大規模調査となる。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後はアンケート調査を完了した学校に対して、分析データおよび生データを調査校に公開するためのwebページの公開を予定している。 また、今回の調査結果から学力階層や地域変数と発生率により標本校10校程度を選定し、3年間に渡って個人を特定したパネルデータの作成を試みる。それらのデータをもとに、それぞれの学校の実態に沿った啓発・研修の方法(国立教育政策研究所のPEACEメソッド等参考)を計画・立案し、それぞれの学校の生徒指導の啓発を継続し、質問紙調査等によってその効果の測定を行う。
|
Research Products
(6 results)