2016 Fiscal Year Annual Research Report
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15H03507
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Research Institution | National Institute for Educational Policy Research |
Principal Investigator |
大杉 昭英 国立教育政策研究所, 初等中等教育研究部, 部長 (50353397)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中原 朋生 川崎医療短期大学, 医療保育科, 教授 (30413511)
須本 良夫 岐阜大学, 教育学部, 教授 (30547691)
橋本 康弘 福井大学, 学術研究院教育・人文社会系部門(教員養成), 教授 (70346295)
田中 伸 岐阜大学, 教育学部, 准教授 (70508465)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 価値学習 / 授業構成 / カリキュラム / 市民性教育 |
Outline of Annual Research Achievements |
前期では,価値判断を行う授業モデルを検討し,パンデミックが発生したときに,ワクチンをどのような人たちから接種すべきかを考えさせる授業計画,VTR,資料を作成し,国内において,中学校2校,高等学校3校で実施した。その際,生徒に対して授業後の感想を聞き取った。その結果,価値判断の基準について,高等学校では倫理的な判断基準(最大多数の者が生き残るためにワクチン接種の順番を考えるといったような功利主義の考え方)について授業で学んだことが参考になっていることが明らかになった。中学校においては授業ではなく生活経験から基準を考えたことなどが明らかになった。 海外調査については,5月から6月にかけてドイツのリューネブルクの小学校で価値判断を行わせる授業を参観し,授業者から児童を信頼しておりすべて話し合いで決定させる方針で授業を行っていることを聴取した。また,イギリスのロンドンにある公立学校フリースクール21を訪問し,価値判断を行う学習に関し,PBL(プロブレム・ベースド・ラーニング)を中心に行っていることを校長から聴取した。 後期では,国内で実施した授業及び海外調査の結果を整理し,日本社会科教育学会でその成果を口頭発表した。また,法と教育学会誌に研究内容をまとめたものを投稿し,掲載予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的は,価値多元社会における社会系教科の価値学習の在り方を明らかにすることであり,そのために,欧米で先進的な取組が行われている市民性教育における価値学習と日本のそれとの比較を行い,社会系教科における価値学習のカリキュラム構成上の指針と授業構成について原理的実践的に研究を行うことを目指している。 そのため,平成28年度の研究では,前期に価値判断を行う授業計画を作成・実施するとともに,海外調査(ドイツ及びイギリス)を行い,市民性教育に関わる授業参観や授業者へのインタビューを実施し,その特長を整理した。さらに,後期では研究の成果を学会で口頭発表したり,論文としてまとめ学会誌に投稿したりした。 以上により,おおむね研究計画にしたがって順調に研究が進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度は,前期において,これまで行ってきた2年間の研究内容を整理するとともに,新たな価値判断授業モデルを作成し,それを基に国内で授業を実施し,その成果を検証する。また,後期には海外調査をドイツで行い,価値判断授業を視察するとともに,授業者及び研究者へのインタビューを実施する。その上で,3年間の研究内容をまとめ学会で発表する。
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Research Products
(7 results)